【公選法違反】田母神被告が島本被告と“心中”決めたのはなぜか

2016年06月29日 07時00分

田母神俊雄被告

 公職選挙法違反(運動員買収)の罪に問われた元航空幕僚長の田母神俊雄被告(67)が27日、東京地裁で開かれた初公判に臨み、無罪を主張した。起訴状によると、2014年2月の東京都知事選に落選したあと、田母神被告は選対事務局長だった島本順光被告(69)と出納責任者の鈴木新被告(58)と共謀して、選挙を手伝った複数の運動員に報酬を配ったとされる。鈴木被告は全面的に罪を認めているが、島本被告は否認。田母神被告が島本被告と“心中”を決めたのはなぜか。

 スーツ姿の田母神被告は少し疲れた表情で、裁判長の「職業は?」との問いかけに「軍事評論家です」。あくまで無職とは言わない姿勢に、航空自衛隊のトップに上り詰めたプライドをにじませた。起訴状によると、田母神被告は島本、鈴木両被告と共謀して、都知事選を手伝った運動員に報酬を渡したとされる。

 田母神被告は懐から取り出した紙を読んだ。

「今回、先の都知事選で選挙運動を頑張った人にお金を配ったとして起訴されていますが、お金を配ったことはありません。共謀もしていません。否認します」と主張。

 続けて「多くの皆様にご迷惑をかけて申し訳ありません。道義的責任は感じています。しかし、共謀を行ったことはなく、無罪です。公正な裁きを求めます」。声はこれまでと変わらぬ田母神被告のままだった。

 一連の事件で共犯者として逮捕・起訴された島本、鈴木両被告の対応は分かれている。鈴木被告は起訴内容をすべて認めているが、島本被告は否認。田母神被告は島本被告とともに、鈴木被告がやったと言いたいようだ。かつての選対関係者が明かす。

「14年12月に田母神氏が衆院選に出馬し落選した後、選対のメンバーで打ち上げをやったのです。このときには集めた寄付金が消えていることに多くの人が気付いていました。ただ、さすがに田母神氏の前では聞けなくて。でも、ほかの関係者に聞いたら、やっぱりなくなっていると。びっくりしましたね」
 この関係者によるとその年の年末、田母神被告は島本被告と会い、消えたお金について話し合っていた。

 その場で田母神被告は島本氏を責めたが、「俺のせいにするつもりか」と島本被告は逆上したという。年が明けた15年2月に「週刊文春」に消えたお金について書かれた。

「島本氏が文春にリークしたといわれています。それで、田母神氏は島本氏にビビってしまった。それ以来、島本氏については言わなくなった」(前出の選対関係者)。田母神被告には「脅し」に感じられたわけだ。文春に報じられる直前に田母神被告は緊急会見。その場で自身の資金管理団体で数千万円の使途不明金があることを明かし、鈴木被告が使い込んだから刑事告訴を考えていると訴えていた。この時点で田母神被告は島本被告と歩調を共にすると決めたと関係者らは指摘した。

 この会見は田母神被告にとってその後の運命を左右したともいえる。支持者の一人は「『申し訳ございませんでした』と認めると思ったら、鈴木氏のせいにした。これにはがっかりしました」。

 もちろん公判は始まったばかりで田母神被告の主張どおり無罪になるかもしれない。しかし、離れた支持者たちはそう簡単に戻ってこない。