山口組抗争「第2幕」突入か

2016年06月08日 08時00分

 指定暴力団神戸山口組系組幹部が先週射殺された事件で、対立する指定暴力団山口組系組員の男が5日に逮捕された。ただ容疑者は出頭時に、凶器の拳銃を持っていなかったことなど、まだまだ不明な点も多い。先月ごろから一部で山口組と神戸山口組の「和解話」がささやかれるようになっていたが、この事件をキッカケに完全に“ご破算”となって、警察関係者は「抗争は第2幕に突入した」とみている。

 指定暴力団山口組は6日、神戸市灘区の総本部で、月に1回直系組長が集まる定例会を開いた。山口組から分裂した指定暴力団神戸山口組系の組幹部が岡山市で射殺された直後のため、兵庫県警は通常の定例会より捜査員や機動隊員を増強し警戒に当たった。今後も両団体の動向を注視する。

 昨年8月、山口組から山健組や宅見組らの有力組織が脱退、神戸山口組を結成し、山口組は分裂した。それから全国各地で小競り合いは頻発していたが、ついに幹部クラスに死人が出た。先月31日、岡山市内のマンション駐車場で、神戸山口組系池田組の若頭・高木忠組員(55)が射殺されたのだ。

 池田組は資金力が豊富な組として有名で、事件勃発当初は、もめていたという岡山や北海道の組織の名前が捜査線上に浮かんでいたが、5日に急転した。

 山口組系弘道会傘下の組員・山本英之容疑者(32)が岡山県警南署に出頭、殺人容疑などで逮捕されたのだ。弘道会といえば、六代目山口組の司忍こと篠田建市組長の出身母体で山口組の中核組織だ。

 岡山県警は、山本容疑者の具体的な供述内容を明らかにしていないが、取り調べには応じているという。山口組の分裂を巡る両団体の対立抗争との見方を強め、今後、関係先を家宅捜索する方針。

 容疑者が出頭したとはいえ、事件には不可解な点も残っている。現場近くの防犯カメラに写っていた不審者と体格が一致したという山本容疑者は出頭時、犯行に使った拳銃を持っていなかったというのだ。

「通常、ヤクザが出頭する場合は使った凶器も持ってくる。それがないと、立件できない可能性もある」と司法関係者。

 また、殺害の動機もいまいちハッキリしない。

 普通に考えれば抗争相手に対する組織的犯行だが、今回は必ずしもそうとは断言できない。

「抗争で殺人となれば、上までみんな持っていかれるこのご時世に、実行犯が出頭する意味は少ない。また、なぜ池田組の若頭を狙ったのかもいまいち判然としない。綿密な準備がなされたとは思えない様子も散見されており、ひょっとしたらカネの貸し借りなど個人的なトラブルがあったのかもしれない」と暴力団に詳しい関係者。

 とはいえ、弘道会傘下の組員が池田組の若頭を射殺したと名乗り出たという事実は揺るがず、この事実が持つ意味は限りなく大きい。

「事件勃発直後は、犯人が分からないことから神戸山口組内で“返し禁止”の通達が出たと聞いている。弘道会の組員が出てきたとなったら、もはや止められないだろう」と前出関係者。

 この事件が起きる前には、山口組と神戸山口組の和解という情報が駆け巡っていた。それは幹部同士が話し合い、再統合するという話だった。ところが、山口組の一部幹部の反対で、頓挫してしまったと言われている。「もはやその話はなくなったと考えていい」と前出関係者。

 抗争が激化すれば、暴力団対策法に基づく「特定抗争指定暴力団」の指定の可能性も高まる。これは、警戒区域における組事務所の新設や立ち入り、同じ暴力団の組員が5人以上で集まる等の行為があると、即逮捕できるというものだ。すでに警察庁は指定をにらんで、準備を進めるように通達を出している。

 岡山での射殺事件をキッカケに、警察関係者が「山口組の分裂抗争は第2幕に突入した」と見ているのは間違いない。