顔見知りの犯行か――。4日午後10時ごろ、千葉市稲毛区稲毛東のアパートの一室で契約社員、茅野利奈さん(41)が腹部などを刃物で刺され血を流して死亡しているのを訪れた父親が発見した。凶器は見つかっておらず、犯人は刃物を持って逃走したとみられる。

 4日に茅野さんが都内の勤務先を無断欠勤したため、連絡を受けた父親がアパートに様子を見に行ったところ茅野さんが布団の上で倒れていた。1日午後9時に退社して以降の同日深夜以降の足取りが分かっておらず、事件に巻き込まれたとみられる。

 現場のアパートは、JR稲毛駅から南西300メートルほどの戸建て住宅が立ち並ぶ閑静な住宅街。近隣住民は「金曜(1日)も土日(2、3日)も不審な人を見かけたとか大きな物音を聞いたことはない」と口を揃える。「近所では最近も空き巣被害があった」(住人)というが、茅野さんの部屋に争った形跡はなく、財布や貴重品なども盗まれていない。

 また茅野さんが部屋着姿だったことからも、後をつけられて帰宅直後に襲われた“行きずり”の可能性は低い。捜査本部によると「茅野さんがストーカー被害を相談していたこともない」。物取りでも行きずりでもないとすると、顔見知りの犯行なのか。

 1年前まで現場近くでクリーニング店を営んでいた女性は「週に1回来てくれた。地味な普通のOLさんという雰囲気で仕事に着て行くような女性モノのブラウスを持ってきた。男性モノはなかった」と語る。

 別の住民は「日曜夜に茅野さんのアパート前に普段は見ない黒い乗用車が止まっていた」と証言。県警は周辺にトラブルがなかったかなど交友関係も含め慎重に捜査する方針だ。