【万引き濡れ衣】中3自殺事件 ずさんすぎるデータ管理の不可解

2016年03月11日 06時30分

 新たな“謎”が浮かび上がった。広島県府中町立府中緑ケ丘中3年の男子生徒(15=当時)が、誤った万引き記録に基づく進路指導を受けた後、昨年12月に自殺した問題で、実際に万引きした生徒の名前を記載した生徒指導報告書が校内のサーバーに保存されていたことが9日、分かった。

 担任は同じサーバーに保存されていた誤った方の記録を使用。正しい記録もあることは知らなかったとみられる。正誤2種類の文書を共存させるずさんなデータ管理が、誤った進路指導の一因となった可能性がある。

 府中町教育委員会によると、担任が使用したのは校内の生徒指導会議用の資料で、自殺した生徒が万引きをしたと記載。一方、生徒指導報告書は学校側が町教委に提出するために作成、実際に万引きした生徒名が正しく記載されていた。

 昨年11月、中3を担当する教諭の一人が、生徒の非行歴を調べるため、サーバーから誤った方の資料を入手、男子生徒の担任にも渡した。

 この資料は、2013年10月の生徒指導会議で生徒名が違っていると指摘があり、紙の資料は訂正したが、サーバーの元データを修正していなかったことが既に分かっている。同校は、非行歴を進路指導の参考にしていたが、確認のためにどの資料を使うべきか、などの手順を定めていなかった。坂元弘校長は「使うべきではない資料を使ったのは大きなミス」と話している。

 なぜ生徒指導用の資料を作った教諭が生徒名を間違えたのか。指摘を受けて間違いが判明した元データがなぜ修正されなかったのか。こうした従来の疑問に加え、相反する記録がサーバーに並存し、悲劇が起こるまで誰も気がつかなかったのかという新たな“謎”も呼びかねない今回の新事実発覚。自殺した生徒に対する担任教諭による万引き誤記録の確認がずさんだったことは本紙も昨報したが、情報管理の問題も次々と出てきた。