東京マラソンで投入 これが迎撃ドローンの威力

2016年02月27日 18時00分

不審ドローン(下)を捕獲する迎撃ドローン

 こんな場面が果たして見られるのか。28日の東京マラソンで、不審な小型無人機・ドローンの捕獲機能を持つ迎撃ドローンが警備に導入される。不審機飛来を検知するシステムを含めて、大規模イベントに登場するのは初めて。東京マラソンは2007年のスタートから第10回の節目を迎え、開催に先立つ1月末にテロ対処訓練を済ませている。ドローンキャッチはこうして行われる。

 


「ただちに飛行をやめるか、引き返しなさい」


 東京ビッグサイト(江東区)内にあるマラソンゴール地点。ドローン検知システムが不審機の接近を検知し、警察は操縦者に呼びかけた。


 操縦者は従う意向がないようで、不審機はゴール方面に向かってくる。対処すべく、一帯に面した東京湾に停泊中の船舶から大型の迎撃ドローンが飛び立った。上空を舞いながら捕獲用の網(縦約3メートル、横同2メートル)を広げ、対象に迫る。捕物劇のごとく網にからめ捕ると、警官たちが待つゴール地点の付近に降り立った。こんなシミュレーションが1月末、大会を主催する東京マラソン財団によるテロ対処訓練で披露された。不審機検知から捕獲までの実務を担当したのは、所轄の東京湾岸署を含む警視庁、海上保安庁など。検知システムは大会スポンサーでもあるセコムが開発した。


 10回大会を記念して、フルマラソンは1000人増の3万6500人の参加で実施される東京マラソン。10キロの部と合わせて約3万7000人が都庁をスタートして都心を走る。きめ細かい警備のため昨年に「ランニングポリス」を登場させた警視庁が、今回用意したのは「無人飛行機対処部隊」が扱う迎撃ドローンだ。


「イベントに出動するのは初めて。警視庁の特注品ではないけれど、網をつけて市販しているものはないかもしれない。大きいドローンを飛ばすのはなかなか難しいと聞いており、相当な訓練を積んでいる」(警視庁広報担当者)


“官邸ドローン事件”を受けて改正された航空法が昨年12月に施行され、ドローンの飛行に規制がかけられた。イベント上空の飛行も承認が必要とされる。警視庁は同月、全国初の迎撃ドローンの導入を発表。「計10隊ある機動隊の部隊に1機ずつ配備」(同)される新タイプのドローンにとっては、いきなりの大舞台となる。


 1月に発売された「セコム・ドローン検知システム」も、セコムによると東京マラソンが大規模イベントのデビューとなる。「レーダーと音声センサー、監視カメラの3つの検知機能を組み合わせて運用する。こうしたシステムは、ほかにないのではないか」(広報担当者)。システム全体の価格は4000万円(税別)で、単発使用の料金は「検討中」(同)。当日は同社の飛行船も上空から下界を見下ろす。


 07年2月に始まった東京マラソン。9年間の変化を、同財団の桜井孝次理事長はこう語る。
「最初はランナーに事故があってはいけないということが主に注意されたが、テロ対策の比重も高まった。20年五輪が行われる東京で、テロを許してはいけない」


 2月28日、迎撃ドローンは舞い上がるのか。