元“号泣県議”野々村被告 初公判は「虚言劇場」…「覚えておりません」90回

2016年01月28日 06時30分

初公判を終えて裁判所を出る野々村被告を乗せたとみられる車両

 記憶障害ではなく「空想虚言」!? 日帰り出張を繰り返したとする虚偽の報告で政務活動費約900万円をだまし取ったとして詐欺などの罪に問われた兵庫県の元“号泣県議”野々村竜太郎被告(49)の延期されていた初公判が26日、神戸地裁(佐茂剛裁判長)で開かれた。野々村被告は、該当する政活費を返却していながら、起訴内容を否認するという不可解な主張を展開。地裁は3月25日まで同被告を勾留することを決めた。「記憶障害」の診断書を武器に逃げ切ろうとしている野々村被告を、専門家は「8割方、空想虚言」と見て取った。

 野々村被告が公の場に姿を見せたのは、記者会見で政活費詐取疑惑に釈明した“号泣会見”の2014年7月以来。めがねをかけ、濃紺のスーツにネクタイ姿で法廷に現れ、緊張の面持ちで動きもぎこちなかったが、傍聴人の視線が集中したのは頭だった。かねて、インターネット上では、野々村被告の学生時代や公務員時代の画像と号泣会見時を比べて毛髪が増えすぎていると指摘されていたが、スキンヘッドという驚きの変貌だった。

 起訴状の読み上げに続いて佐茂裁判長に認否を問われると、「虚偽の収支報告を記載して政務活動費の返還を免れようとしたことは決してございません」と否認した。

 被告人質疑では、各質問に対して20秒ほど思案に暮れた揚げ句に「覚えておりません」を連発。佐茂裁判長は「さっさと答えてください。そんなに難しいことは聞かれていない」といら立った。

 野々村被告は「医師の診断では、緊張や不安で記憶障害が生じている可能性があると言われています」と主張し、病院の診断書も提出できると発言した。弁護人から「いつ診断されたのか」と問われると「平成27年12月9日です」とハッキリ答えた。

 野々村被告の主張について銀座泰明クリニックの茅野分院長(精神科・心療内科)は「自分の行ったことに罪の意識があり、回避の行動を取っている。恥の意識からくるものでしょう」と話す。約90回も「覚えておりません」を連発。この発言は「空想虚言」と「解離性健忘」の2つにあたる可能性があるという。

「空想虚言とはいわゆる虚言癖で、うそ・偽りを並べ、何とか悪事を隠して逃げ切ろうとする意図が見える。もう一方の解離性健忘は強いストレスなどから『ここはどこ? 私は誰?』というような状態に陥っている症状です。恐らく、野々村さんの場合は8割方、空想虚言ではないか」(同)

 そもそも野々村被告は一昨年に県議を辞め、政活費を一括返納。罪を認めた形で在宅起訴となったとみられる。法廷でも素直に認めれば執行猶予がつく可能性があったにもかかわらず、昨年11月の初公判を、マスコミの過剰取材などを理由に欠席。神戸地裁から強制出廷させられたうえ、弁護士との打ち合わせにも逆らって否認したようだ。

「現実見当識が働かなくなっている」と指摘する茅野院長は、「頭を丸めるなど反省の態度を示しているようにも見えるのに、もったいない。周囲の状況が見極められなくなり、正常とは言い切れないボーダーライン上の精神状況になっている可能性がある」と続けた。

 地裁入りでも姿を隠した野々村被告は、3月25日までの勾留手続きがとられたため、しばらくは外に出られない可能性が高い。逃亡の恐れなどがあるとみられたようだ。

 24日に各賞受賞者が決まった「第25回東京スポーツ映画大賞」と同時表彰の「第16回ビートたけしのエンターテインメント賞」(2月28日に授賞式)で話題賞に選ばれている。ビートたけし審査委員長(69)は「お笑いの悪魔がついた。タレントだったら1億は稼げるよ」と太鼓判を押す。記者は担当弁護士の事務所員に、受賞者発表の本紙を渡したが、勾留が続けば授賞式への出席は不可能になる。

 野々村被告のタレント活動について、テレビ局関係者はこう話す。

「ベッキーさんの不倫騒動でも(関係各所に)抗議の電話がたくさんあると聞いています。刑事事件絡みでは昔、横山ノックさん(タレント、元大阪府知事)がわいせつ事件を起こした後に復帰した際も抗議が殺到したそうです。野々村さんの場合も、そういう声を押して起用するとなるとプロデューサーの責任問題にもなりかねないので、慎重にならざるを得ないのでは」

 次回公判は2月22日の予定だ。