今年2月に東京都中央区のマンションで交際相手の平田勇二さん(48=当時)の頭部を金属バットでめった打ちにし、首や胸部を牛刀で何度も刺して失血死させた殺人罪に問われている元ホステス菊池あずは被告(29)の裁判員裁判の第2回公判が2日、東京地裁で開かれた。

 精神鑑定を実施した精神科医が出廷。20歳で性転換手術を受けて女性になった菊池被告には性同一性障害や軽度の知的障害、広汎性発達障害がみられるが「精神疾患はみられず、被告の障害が事件に影響したとはいえない」とした。法廷での菊池被告は、前日同様に目の焦点が定まらず、終始口をポカンと開けたままで、証言台に立つたびにヨダレでズボンがビショ濡れになるありさま。

 弁護人の被告人質問では「(今回の事件まで)発達障害や知的障害があることは分かりませんでした」と答えた一方、殺害直後に「殺害 精神 ならない」とスマホで検索していたことを検察から指摘されると「よく分かりません」とだけ答えた。医師によると「事件直後の取り調べの様子を収めたDVDを検証すると、ちゃんと受け答えできていて、これが本来の精神状態」という。

「勾留期間が長引くにつれ『平田さんは本当に死んだのか』『平田さんはクローンや双子ではないのか』『平田さんが皆を洗脳して(死んだと)思い込ませているのではないか』などと言いだしたり、弁護人に『先生はまた来てくれますか。100%、保証してくれますか』などと執拗に迫るなど拘禁症状が出始めた」

 平田さんに対して抱く思いを聞かれた菊池被告は、口では「あやめてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいです」と言うものの「どう謝罪するか」と聞かれても「よく分かりません」を繰り返し、殺害の実感がいまだないかのようだった。