東京・靖国神社の男子トイレ個室で23日午前10時ごろに爆発音がした事件は、南門近くの防犯カメラに不審なリュックサック姿の男が写っていたことは本紙昨報通り。

 男は爆発音がする前には紙袋のようなものを持っていたが、その後は持っていなかった。現場周辺で紙袋のようなものが見つかったことも判明し、警視庁は事件と男の関連を調べている。23日朝に神社関係者が巡回した際には不審物はなく、その後置かれたものとみられるが、やはり今回の事件には不可解な点が多い。関係者は「たとえば、事件2日前の21日には参道でフリーマーケットが開催されていて、人出も多かった。あの時間、あの場所で爆発が起きていたらと考えるとゾッとする」と振り返る。

 犯人の狙いは人ではなかったのか。警視庁公安部出身で犯罪心理学者の北芝健氏は「そもそも今回の事件はアマチュアクリミナル(プロの仕業ではない犯罪)で犯人の覚悟を感じない」と指摘する。

「犯人は自己顕示欲が先行していて、ただ社会に認められたいだけだったのではないか。たくさんの人を狙わず、排せつの場所を選んだのも、結局人目につかない所を選んだだけ」(北芝氏)

 靖国神社という選択の背景はイデオロギーよりも話題性を重視しようとした節が強いようだ。今回、現場には乾電池や時限式発火装置、塩化ビニール管などが残されていた。

「本当はもっと大きい爆発を起こしたかったが、うまくいかなかった可能性もある。ただ、それだったとしても規模は大きくない。今は簡単な爆発物ならインターネットなどで作り方を知ることができる。もともとそれほど詳しい知識はなく、今回ぐらいの規模のものしか作れなかったのかもしれない」(北芝氏)

 とはいえ、北芝氏は「思ったほど騒がれていないので、今でも不満を抱えているのでは」とも推測する。

 世間が大騒ぎせざるを得ないほどの大事件を起こさせないためにも早期の解決が望まれる。