神戸連続児童殺傷事件の犯人、元少年Aの有料ブログマガジンが15日、運営会社「FC2」にスピード凍結された。「元少年Aの“Q&少年A”」と題されたブロマガは月額800円で、12日にスタート。投稿者の質問にAが答える形式だった。しかし15日には画面に「このページの表示は許可されていません」と記され、閲覧不能となっていた。

 運営側は「規約上の違反があった」「多数のユーザーに迷惑をかける行為を行った」と説明しているが、凍結の要因として考えられるのは本紙既報の投稿者の実名公開だ。Aはブロマガの一部を無料公開していたが、ごく少数の質問者はネット上に実名公開された。心理学者で新潟青陵大学教授の碓井真史氏(56)もその一人で、本紙取材に「まさか無断でさらされるとは…」と嘆いた。これがプライバシー保護の規約違反に抵触した可能性がある。

 一方で、運営側の迅速対応には別の理由もあるという。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「FC2はこれまで何度も警察のお世話になっている。Aの件でこれ以上、にらまれるのを嫌ったのではないか」と話す。FC2では昨年から、わいせつ行為をライブ中継した男女の逮捕が相次いだ。また6月にはFC2掲示板で向精神薬「リタリン」を162人に販売した女が逮捕された。

 井上氏は「FC2に対する世間の反発も強くなっていた。その矢先にAのブロマガが発覚。開設者の素性は運営側も確認できる立場になく『まさか…』と頭を抱えたことは容易に想像がつく。このまま放っておいたら、配信を許可したFC2に火の粉が飛んできてもおかしくない。プライバシー違反を口実にスピード解決を図ったのだろう」と推察する。

 Aにとってブロマガは心のよりどころでもある。それがスピード凍結されたことで逆上し、予期せぬアクションを起こすことだけが心配だ。