東京・世田谷区北烏山のアパートで昨年12月、危険ドラッグを使用して隣の部屋に侵入し住人の女性(当時37)をナイフで切り付け、傷害などの罪に問われていた無職田中勝彦被告(32)に東京地裁は18日、求刑通り懲役2年6月の判決を言い渡した。

 同被告は意味不明な言動を繰り返していた。犯行後、自室に戻っていた同被告は興奮状態で捜査員に「俺が刺したんだよ~! 薬飲んでやっちゃった~」と叫び、送検時には報道陣に向かって満面の笑みでダブルピース。取り調べには「しぇしぇしぇ~のしぇ~」と答えるなどしていた。

 島田一裁判長は「危険ドラッグを使用して判断能力は著しく低下していたとはいえ、(被害者宅の)チャイムを鳴らしドアを開けさせて、普段から悪臭に不満を持っていた隣人に狙いを定めた合理的な犯行で心神喪失状態だったとまではいえない」とした。

 同被告は被告人質問で「今後、どう薬物を絶つか?」と検察から聞かれ「更生とか言うなら薬物の売人全員捕まえて来いよ、ふざけんな!」と吐き捨て、反省を促されると「加害者なのに被害者の立場なんて分かるわけないじゃん」などと食ってかかった。

 千葉・柏の連続通り魔事件で一審無期懲役判決が下った瞬間に「やった! これでまた殺人ができる!」と言い放った竹井聖寿被告(控訴中)と並び、“物言う被告人”として田中被告は不規則発言に注目が集まっていたが、裁判長が判決文を読み上げる間、だるそうに頭を左右に傾けるなどしていたが、ひと言も発しなかった。

 弁護人は閉廷後、本紙に「本人は『やっちゃったんだからしょうがないっしょ』といった様子で控訴するつもりはなかったが、改めて(判決を受けて)本人と話し合う予定。精神鑑定がずさんだったとは思っている」と話した。

 公判では、人気漫画「ドラゴンボール」の孫悟飯になりきって戦闘力を倍増させる“界王拳”で手錠を外そうとした一方、精神科医に「精神異常って書いてよ。先生の調書で決まるんだから」などと発言していたことも判明していた。