世界最大の“不倫出会い系サイト”「アシュレイ・マディソン」のデータ流出が、詐欺師の金儲けに利用されそうだ。

 7月、同サイトがハッキング被害に遭い、3700万人もの会員情報が流出。利用者が自殺する悲劇も起きた。流出データのうち女性利用者は数千人しかいなかったことも発覚してしまった。

 この世界的な事件に詐欺グループが便乗しないわけがない。弱みにつけ込もうとする詐欺集団にとってはまたとないチャンスとなった。
 実際に情報が漏れ出た被害者を狙った脅迫メールが相次いでいる。「お前の名前がネットに流出していることを奥さんにバラすぞ。それが嫌なら、見返りとしてビットコインをよこせ」という例があるという。

 セキュリティーソフト「ノートン」を開発・販売しているシマンテック社はこう指摘する。

「詐欺師は新しい事件があるとすぐに悪用しようとします。今回は被害の規模が大きく、データベースが気まずい内容であるだけに、漏えいしたデータに自分あるいは配偶者の名前が含まれているのではないかと不安がる利用者を、詐欺師はここぞとばかりに狙ってきます。データ漏えい関連と称する電子メールには十分注意してください」

 また、利用者の情報が漏えいに含まれているかどうか調べようと提案してくるウェブサイトにも注意が必要だ。

「サイトの運営者に悪意があれば、送信された情報をもとに、漏えいを心配するユーザーの身元を特定し、逆に標的を脅迫しようと試みるかもしれないからです」(シマンテック社)

 さらに流出被害者に対し、直接「漏えいデータから個人情報を削除する」とウソの申し出もあり得る。

「対価を支払ってはなりません。情報はすでに公共のオンラインに流れてしまいコピーがいくらでも存在する以上、削除など不可能です」(同)

 日本人の被害はいまのところなさそうだが、情報が流出してしまえば、じたばたしてもムダだ。