大阪キタのゲイタウン・堂山で起きた売り専(ゲイ風俗)オーナー強盗殺人事件の論告求刑が28日、大阪地裁であり、検察側は元売り専ボーイ加藤健太被告(26)に無期懲役を求刑した。


 恋人Yさんの金品をくすねたのがバレ、けじめ料100万円を返すハメになった加藤被告は、空き巣を3件やった数日後、知人で「金を持っていそうな」売り専オーナーMさん(享年39)を殺害し、金品を強奪。空き巣からいきなり強盗殺人に飛躍した理由は「その時は普通に考えられなかった」と的を射ない答えだった。


 逮捕当初は「ささいなことでトラブルになり、怒りが収まらず」「家に入った時に(Mさんに)襲われた」と話したが、公判では「少しでも助かりたいからMさんのことを悪く言ってしまいました」と訂正。金目当ての犯行を強調した。


 ハンマーで頭を殴る際、Mさんは「分かった、いや、分かった」と抵抗したそうだが、何が「分かった」のかなど直前の会話は法廷で追及されなかった。


 売り専の客とボーイという出会いだが、Mさんは定職につかぬ加藤被告を目にかけていた。Yさんの存在や妊娠も知っていて、2人を部屋に上げたことも。ちなみにYさんは元モデルで6月の出産後は同被告の親から養育費5万円を毎月もらっている。


 犯行後、加藤被告は盗品を片っ端から換金したのに、Mさんのルイ・ヴィトンの財布だけは自分で使っていた。検察官から「(ヴィトンの)満足感、ステータスが欲しかったのか?」と尋ねられると「捨てられなかったです」とポツリ。大事な形見として持っていたともとれる。


 閉廷間際、加藤被告は「自分の頭の中で、どうMさんに対して謝っていっていいかは、明確にはまだ分からない。なのでこれから少しずつ毎日考え、Mさんに対してやってしまったことを反省していきます」と涙声で話した。遺族に渡された事件6日前のMさんの最後の写真に一緒に写っていたのは、他ならぬ加藤被告だった。