米国軍と韓国軍による連合軍司令部は17日、朝鮮半島有事に備えた定例の米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」(28日まで)を韓国各地で開始した。

 合同軍事演習は米国軍と韓国軍が毎年、韓国で行っている。演習には米国軍から3万人、韓国軍から5万人が参加し、北朝鮮からの攻撃を想定して指揮命令系統の確認などが行われる。

 朝鮮半島情勢に詳しい関係者は「机上演習を中心に指揮命令系統の確認などを行う訓練です。これに合わせて、自治体や企業でも避難訓練などが行われたりする大規模な内容です」と話した。

 一方、北朝鮮は15日の段階で米韓軍事演習が実施された場合は「軍事的対応も激しくなる!」と強く反発し、韓国側に中止を要求していた。

 南北を巡っては今月4日、北朝鮮が非武装地帯に埋めた地雷が爆発して韓国軍の兵士2人が大けがをし、一気に“冷戦”に突き進んでいた。

「先週、韓国軍は11年ぶりに北朝鮮に向け、大音量のスピーカーを使って金正恩体制を非難する放送を再開した。スピーカーは全部で30か所に設置され、昼夜関係なく放送されている。さらに韓国軍は今回の地雷事件を受けて軍事境界線で北朝鮮の兵士を見つけた場合、これまでの警告放送↓警告射撃↓照準射撃というマニュアルから“直ちに照準射撃”と、発砲することに変えました」(前出の関係者)

 今回、緊張が高まったなかで米韓軍事訓練が始まったことで、北朝鮮の反発は必至と見られ、短距離ミサイル発射などの挑発行為に出る可能性が指摘されている。

 北朝鮮の金正恩第1書記は新年の辞の演説で、韓国に対し「対話、交流を活発化し、北南関係の大転換、大変革をもたらすべきだ」と呼び掛けている。そのため、南北関係は好転するのではないかと見られた。

 果たして南北の緊張感はチキンレースで終わるのか、それとも軍事衝突に発展するのか。