大手学習塾の早稲田アカデミー(東京)が長野県の志賀高原で開いている夏季合宿で、参加者約340人から預かった貴重品がなくなったことが10日、同県警中野署などへの取材で分かった。中野署が窃盗事件として保管状況などを調べている。

 中野署などによると、8日から9日にかけて、合宿会場の一つで中学生が参加していた同県山ノ内町のホテルで、アカデミー側がまとめて保管していた財布、スマートフォンや携帯電話約100台などがなくなった。アカデミー側が9日に気付きホテルを通じて同署に届け出た。

 中学3年の息子が被害に遭ったという母親(46)によると、アカデミー側から9日夜に「8日夜に貴重品を預かり、箱に入れていた。部屋の鍵をかけ忘れ、翌日に盗まれたことに気付いた」と説明があったという。

 元早稲田アカデミー講師は「毎年の恒例行事で、膨大な人数で付近のホテルを貸し切り状態にします。数人の生徒が相部屋なので、盗難騒ぎが起きないようにという名目で、『スマホがない方が生徒のためだ』としてアカデミーが一括管理するんです。ただ金庫に入れるわけじゃないので、それを知っていたグループの犯行でしょう」と語る。

 知っていたとしたら塾関係者か、ホテル関係者か。それとも通りがかりの窃盗団か。いずれにしても個人情報の塊であるスマホの盗難は当然、恐ろしいことになるだろう。

「夏季合宿に来る生徒の親は金持ちが多い。財布には学生に似つかわしくない額を扱えるクレジットカードがあるでしょう。またスマホ内の情報は保護者をいろいろ脅迫できる材料になるでしょう。犯人は電源を切ったままSIMカードを抜き取るなどして、スマホの情報だけ吸い出して、スマホ本体は海外に転売するのではないでしょうか。数千万円に相当かもしれません」と詐欺事情通は指摘する。