神奈川県三浦市三崎町の小網代湾で、都内の化粧品販売員秋田谷まり子さん(42)がブルーシートに包まれた遺体で見つかった事件で6日、横浜市の無職、米国籍グレゴリー・グモ容疑者(41)が死体遺棄容疑で逮捕された。秋田谷さんは生きたまま海に入れられた可能性もある。グモ容疑者は自宅に日本人妻と子供がおり、マイホームパパぶりを見せていたが、その裏には夜の顔があった――。

 グモ容疑者は日本人妻との間に3人の子供がおり、近所では家庭的なパパとして知られていた。

 近隣住民は「日本語ができないので近所付き合いはないですが、家の前でボートや車を洗ったり、子供をスケボーに乗せて遊んでいる姿を見かけた」という。

 趣味は釣りやカヤック、キャンプなどアウトドアで「(容疑者の)お子さんは『お父さんとキャンプに行く。でもお母さんはお留守番』と話していた」という。別の住民も「奥さんはバイクで夜遅く帰ってくるから“専業主夫”家庭だと思っていた。学校行事もパパが積極的に参加していました」と話す。

 SNSによると、グモ容疑者はニューヨーク生まれ。自称無職だが、モバイル向け音楽配信会社やイベント会社、アフガニスタンの広告関連会社などを経て、来日。約10年前に現在の妻と結婚した後、シンガポールなどに家族を伴って転勤し、3~4年前に横浜に戻ってきたという。

 昼間は子煩悩なパパのグモ容疑者だが、夜は豹変していたようだ。都内のクラブやバーではグモ容疑者らしき男の目撃談が寄せられている。

「外国人が集まるバーで友達がこの男にナンパされたと言っていました。なんか根暗な感じで、こっそり女性の写真を撮って、SNSに上げたりしていたそうです」(20代女性)

 過去3度の結婚相手はすべて日本人とみられ、徹底的に“やまとなでしこ”を狙い撃ちしていたようだ。

 秋田谷さんは英ロンドン芸術大学でファッションを専攻し、外資系の化粧品会社に勤務していた。独身とみられ、家賃20万円は下らないJR恵比寿駅近くの高層マンションに居住していた。住民は「場所柄、家賃も高いので、このあたりに住んでいる女性は美人だったり、モデルさんのような人ばかり。(秋田谷さんも)スレンダーでキレイな方だった印象があります」と話す。

 海外旅行が趣味で、SNSでは欧州やシンガポール、ドバイなどへの優雅な旅行写真が並ぶセレブぶりだった。また渡航先でのビキニ姿を披露するなど“美魔女”ぶりもアピールしていた。グモ容疑者とはネット上で知り合ったとみられる。

 犯罪ジャーナリストの北芝健氏は「外国人フェチという点では、男女逆だが『ルーシー・ブラックマンさん事件』に近い。また、事件の構図はベルギー人牧師が、愛人の一人である日本人女性の首を絞めて都内の善福寺川で溺死させたとされる『BOAC日本人スチュワーデス殺人事件』(逮捕に至らず牧師は出国)に近い」と指摘する。

 ルーシーさんの事件では“金髪美女フェチ”と思われる日本人男が逮捕、無期懲役刑が確定した。同様に、米国人のグモ容疑者は“なでしこフェチ”だったようだ。

 また、北芝氏は「スチュワーデス事件は、支援物資の横流しがバレた、麻薬の運び屋を拒否されたなど諸説ある。今回の事件も、海外を股にかけたビジネスマン風の容疑者に、被害者がのめり込み、それによって不都合なことを知ってしまい、その結果、存在が重くなった可能性が高い。生きたままブルーシートでくるんで重しを付けて沈めたと考えられる殺害方法は、計画的で非常に強い殺意がある」とみている。