日経に買収された英FT記者たちが自虐ジョーク

2015年07月26日 16時00分

 23日に日本経済新聞社が発表した英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)買収のニュースは世界を駆け巡った。買収額は約1600億円。5週間前から交渉が始まり、決まったのは発表の直前だったという。


 FTは1888年に創刊された老舗メディア。電子版への移行が進んでおり、日経はFTの国際的な情報発信力を手中に収めることになる。今後は記者の人的交流を拡大させる。


 日本の新聞社に買収され、あぜんぼうぜんのFT記者や編集者は、さっそくツイッターでコメントしている。テレビクルーの写真を載せて、「日本のパパラッチがFTの玄関にいる!」とつぶやく人や「日本では名刺を受け取るとき、両手を添えるんだぞ」とビジネスマナーを教える人…。
「コラムはアニメにした方が伝わりやすい」と日本のアニメ文化を意識したり、「アベノミクスの勝利だな」と分析したりする人もいた。


 これらは英国流のジョークだろうが、本気の心配もある。24日に行われた日経の会見で外国人記者が「オリンパス事件をFTが追及していたが、日経は出遅れたのではないか」という趣旨の質問をぶつけた。オリンパス事件とは2011年に発覚した粉飾決算事件で、月刊誌「ファクタ」がスクープし、FTも鋭く追及した。しかし、日経はオリンパスに気兼ねしたのかすぐには追っかけなかった。


 日経の岡田直敏社長は「出遅れたとか遠慮したとかではない」と強弁。「FTの編集権の独立は保証します。FTの見方に学ぶことがあると思います」と、日経のやり方を押し付けないと話した。


 企業の広報紙とやゆされることもある日経だけに、頼りないと思われれば有能なFT記者が逃げ出すのは必至。買収は高い買い物になってしまうかもしれない。