なぜ3年たった今なのか? 2012年に東大テニスサークルの飲み会で、アルコール度数25%の焼酎約1リットルを一気飲みし、急性アルコール中毒で死亡した教養学部2年生の高原滉さん(21=当時)の両親が22日、飲み会に参加したメンバーのうち21人に計1億6900万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

 高原さんは東京・隅田川花火大会前日の12年7月27日、場所取りを兼ねた飲み会で、一気飲みを繰り返して倒れた。同28日午前0時ごろ死亡した。そこにいたメンバーは高原さんを放置したまま飲み続け、異変に気づいて救急車を呼んだのは午前2時すぎだったという。サークルでは、むちゃな酒の飲み方が常態化しており、両親は見殺しにされたと主張している。

 代理人弁護士によると、飲み会には未成年を含む約40人が参加。両親はこのうち2年生以上の責任を問い、10人とは1人当たり240万円を支払うことで和解したが、21人は「法的責任はない」などと主張しており、両親が提訴した。

 3年前の痛ましい事件だが、今になっての訴訟に、法曹関係者は「今回の件はいわゆる不法行為にあたり、消滅時効は3年。これ以上、和解交渉をしていたら時効が来てしまい、損害賠償請求ができなくなるので、ギリギリのところで訴えたというところでしょう」。

 提訴後に記者会見した父親の俊彦さん(52)は「学生の飲酒死亡事故は後を絶たないが、子供を亡くす不幸な親は二度と出ないでほしい」と涙ながらに話したが、この訴えは認められるのだろうか。

 同関係者は「例えば隣にいて様子が変だと気づく立場にいた人と、初めて飲み会に来たという人では、一気飲みを止められたのかどうかを含めて、置かれた立場は違います。問われる責任も人によりけりで、ケース・バイ・ケースというところでしょう」と話している。