娘を偽装誘拐 逮捕された母と共犯者夫婦の謎の素顔

2015年07月10日 10時00分

 実の娘を知人に誘拐させ、別居する父親に現金を要求したとして、営利目的誘拐の容疑で茨城県土浦市の派遣社員、伊藤美智子容疑者(46)が茨城県警に8日までに逮捕された。誘拐を手伝った知人で、かすみがうら市の自称スポーツインストラクター、飯島誠太郎容疑者(49)と妻、真紀容疑者(47)も逮捕されている。奇妙な事件の背景と飯島容疑者の素顔に迫った。

 県警によると、3人は共謀して伊藤容疑者の長女(18)を誘拐することを計画。5日午前10時半ごろに、飯島両容疑者は土浦市内にある伊藤容疑者の自宅にいた長女に「お母さんが拉致された」と告げ、かすみがうら市内にある自宅に連れ去った疑いがもたれている。

 長女は警察に対し「飯島夫妻がやって来て『あなたも危ないからかくまってあげる』と言われた。自宅には母のメモで『あなたも危ないからいざという時には飯島さんを頼りにしなさい』とあったので、信用してしまった」と話したという。その際、長女は携帯電話を飯島夫妻に渡してしまっていた。

 この間、長女の母親は金を無心しに行っていた。6日夜に伊藤容疑者は父親、つまり長女にとっての祖父(75)に連絡して「娘が誘拐されて、2000万円を用意しろと言われている」と説明。祖父は、いくらか用意するからと伝え、7日朝にお金を渡す手はずになっていた。

 だがその後、伊藤容疑者と連絡が取れなくなり、祖父が警察に相談したことで事件は発覚。そのころ、長女は飯島夫妻から「今回の件は解決した」と解放されている。長女がグルでないことは警察が確認している。

 狂言誘拐は時々あるが、身代金を頼った先が父親とは――。伊藤容疑者の住む公営住宅の住人は「近所付き合いがないからどんな人だか知らない」と話すばかり。地元関係者は「伊藤容疑者が近所のクリーニング店を最後に利用したのは1月。そんな高くないのに半年も利用していないところをみると、生活が大変だったのかな」と指摘する。

 一方、飯島夫妻はかすみがうら市内の田舎町のど真ん中に一軒家を構えていた。ここに長女が2日間、軟禁されていた。柵の中で大きな犬2匹がけたたましくほえていたが、隣家までかなり距離があり、長女が連れ込まれても、誰も気付くことはできなかった。

 近隣住民は「奥さんは地元の人だけど、旦那さんは神奈川の人。筋肉がムキムキでとっても怖いんです。だから、あまり深く付き合おうという人はいませんでした」。

 地元では知る人ぞ知るコワモテだったようだ。

「何をして生活しているのか分からないんですよ。自宅の2階でジムをしてたというけど、お客さんがいたか分かんないし。うさんくさい人だなと思っていました」(前出の近隣住民)

 飯島夫妻の子供と誘拐された長女が同級生だったことから、接点はあったようだ。3人は容疑を否認。同夫妻が伊藤容疑者の境遇に同情したのか、同じく生活苦で分け前が欲しかったのか、警察は動機を調べている。