警察はなぜドローンに厳しいのか

2015年06月09日 06時00分

「爆弾付きのドローンを警視庁に飛ばしている」と110番したとして、警視庁蒲田署は7日までに、威力業務妨害の疑いで、東京都大田区の無職小彼(おがの)朋和容疑者(51)を逮捕した。警察に恨みがあるという同容疑者は、話題のドローンで脅そうと考えたという。オッサンのいたずらに警察は迅速に対応し、すぐに御用。ドローン規制も素早く決まりそうだが、どうして警察はドローン事件に頑張るのか。

 小彼容疑者は4日午後9時ごろ、自宅から携帯電話で110番。「ドローンに爆弾をつけて警視庁に飛ばしている。サリンの袋を針で潰してまく」と宣言した。このうそ電話により警視庁は同庁周辺を約1時間警戒することになった。男は酒に酔っていたという。「警察に恨みがあった」と容疑を認め、ドローンやサリンという話題になった言葉を使うことで、脅しの効果を高めたかったとも供述している。

 小彼容疑者は過去にも数回、虚偽の110番通報をしており、通話の記録から浮上した。

 酔っ払っているだけに、どう考えてもいたずらなのだが、警察は素早く逮捕した。ドローンをめぐってはとにかく早く物事が進んでいく。国会では4月の官邸ドローン落下事件を受けて、ドローン規制法案が提出される見込み。まずは航空法を改正して、空港や住宅密集地上空の飛行を禁止する。その後、ドローンの所持を登録制にすることや、禁止区域では飛べないようにするプログラムの導入などが検討されている。

 政府や警察が前のめりなのは、ドローンがテロ組織に利用されることを恐れているからだ。公安関係者は「昨年あった北大生シリア渡航騒動に関わった周辺の人物がドローンに興味を示しているという情報が伝わっています。北大生はイスラム国に参加しようとしていたわけですが、イスラム国がドローンで何かしようという話につながりかねません」と警戒する。

 官邸ドローン落下事件で逮捕された犯人に対しても、公安は背後に組織がいないかを調べている。たとえいたずらだと分かりきっていても、今回逮捕された小彼容疑者に対しても念のため同様に調べるはずだ。もしテロ組織が背後にいた場合、素早く動かないと逃げられてしまう。ドローン技術は犯罪グループやテロ組織にとってのどから手が出るほど欲しい物なのだ。ドローンメーカー関係者は「ドローンにはいろいろな可能性があるからこそ、北朝鮮のようなところには知られたくない」と話す。

 警察のドローンに対する厳しい目はしばらくは変わらないだろう。