神社仏閣油かけで浮上した52歳医師の正体

2015年06月03日 06時00分

「まるでオウムのようなカルト教団」――。千葉県香取市の香取神宮に油のような液体をまいた疑いがあるとして、千葉県警が建造物損壊容疑で逮捕状を取った米ニューヨーク在住の開業医で日本国籍の男K氏(52)は、とんでもないカルト教団の創始者だったことが1日、元信者の証言で明らかになった。前代未聞の“全国神社仏閣連続油ぶっかけ事件”で浮上した疑惑の男はどんな人物なのか。本紙がキャッチした元女性信者は「油で悪霊を退散できると思い込んでいる」と証言した。

「まるで自分を神と信じ込んでいるような男」。こう“告発”するのは、K氏が2013年に設立した韓国系キリスト教団体の元信者の女性だ。

「自分の王国を築くために信者をマインドコントロールしていた。オウム真理教と似たカルト的なものを感じた」という。

 この女性によると「Kは17歳の時に、母親に連れられて都内の韓国人教会で洗礼を受けている。両親は一般信者でしたが、Kは多額の金で宣教団体の国際理事に就任した。とにかく自己顕示欲の塊。ニューヨークで産婦人科を開業しているが、自分を『全米でトップ5に入る“神の手”を持つ男』と触れ回っていた」という。

 K氏は「主の声が降りてきた」と言って、一般信者に“神の教え”を吹き込んでいたという。前出の女性元信者が続ける。

「油まきも“主の声”と言って命令したのでしょう。タチが悪いことにK自身、悪霊を退散できると思い込んでいる。ウソをついて信者をだましている自覚がないのです。Kの命令を真に受けてやりかねない心酔しきった女性信者もいました」

 実際、団体ホームページなどには、K氏が13年7月6日に信者向けに行った講演の動画などが多数掲載されており、ある講演の中でK氏は「神社は悪霊の巣窟」と話したり「主の命令で誰にも内緒で九州某所まで行き、多くの人が虐殺された土地で悪霊を追い出すために祈り、油を注ぎ、清めました」と明言している。

 これまでに千葉だけでなく奈良・東大寺や京都の二条城など16都府県48の神社などでも同様の被害が確認されており、K氏の関与が疑われる。

 香取神宮や成田山新勝寺の施設から検出された液体にガソリン臭はなく、アロマオイルのような甘いにおいだという。

 捜査関係者によると、K氏は千葉県や奈良県内でレンタカーを借りて寺を移動した形跡がみられる。新勝寺や東大寺などの防犯カメラにも香取神社で油をまいた男と似た人物が写っているという。

 K氏は油ぶっかけを救済の儀式として正当化しているが、前出の元信者は「ほかのカルト教団にも油をまく儀式はあるが、国宝や重要文化財にまく意味は理解に苦しむ。そもそも、油で清めるなんて教義は存在していなかった」と不信感を示す。

「K氏の思いつきでしょうが、K氏の命令に疑念を持ったり意見すれば、スパイやサタン扱いされる。トラブルになった信者がK氏を訴えた裁判では、K氏に不利な証言をしたほかの信者らに『証言を取り下げろ』と脅し、応じない信者を名誉毀損で訴えています」

 油まきについて、韓国系キリスト教事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏は「おそらく、キリスト教で行われる香油による聖別(霊的に清めること)を拡大解釈し、神社仏閣に対するテロを正当化しています。こうなると、他宗教に排外的というよりも、日本の伝統宗教に対しての憎悪さえ感じずにはいられません」と指摘する。

 なお、このキリスト教団体は設立当初こそ東京や大阪に百数十人の信者を抱えていたが、K氏の横暴な素性が知れ渡ると急速に信者離れが進んだという。

「今は大都市というより秋田や鳥取、富山、四国などに出向いて集会を開いてやっと信者を獲得している状態」と元信者。

 千葉県警は成田市の成田山新勝寺の被害についても、同じ容疑で逮捕状を取る。県警は旅券法に基づき、男にパスポートの返納命令を出してもらうよう、外務省に要請することも検討している。