東京駅コインロッカー「死体入りスーツケース」の犯人像

2015年06月02日 06時00分

JR東京駅構内のロッカー前は規制線が張られ、物々しい雰囲気

 コインロッカーから死体入りのスーツケースが…。サスペンスドラマさながらの事件が起きた。日本の大動脈であるJR東京駅構内のコインロッカーに放置されていたスーツケースから、高齢女性の遺体が発見された。警視庁丸の内署は死体遺棄事件として捜査している。現場には多くの防犯カメラがあり、犯人特定は時間の問題。にもかかわらず、なぜ遺棄場所にコインロッカーを選んだのか――。

 不審なスーツケースが発見されたのは、4月26日の午前9時40分ごろ。JR東京駅の丸の内南口改札付近のコインロッカーに無施錠でスーツケースが入れられているのを、点検していた職員が発見し、構内にある一時保管庫に移した。

 1か月の保管期限が過ぎた5月31日午前に職員が中を確認すると…。そこに入っていたのは、高齢女性の遺体だった。

 警視庁丸の内署によると、女性は70~90代で身長は約140センチ。着衣はあったが、身元のわかる所持品はなかった。

 スーツケースは黄色で高さ約70センチ、横約50センチ、幅約25センチ。遺体は「いわゆる丸まった状態」(丸の内署)でスーツケースに押し込められていたが、目立った外傷はなく、殺人などの事件に巻き込まれた可能性は低いという。同署は死体遺棄容疑で捜査している。

 関係者によると、遺棄された当日にコインロッカー前で不審人物は報告されておらず、スーツケースから腐乱臭を感じることもなかったという。

 多くの人でごった返す東京駅で起きたミステリアスな事件。この日、コインロッカーを利用していた女性は「似たような荷物を見たら『中に(死体が)入っているんじゃ…』と思ってしまって怖い」と話す。

 とはいえ、コインロッカーの近くには必ず防犯カメラが設置されている。同署も本紙取材に「これからカメラの映像や行方不明者の照合を行う」。遺棄した犯人が特定されるのは時間の問題と言っていい。

 警視庁元刑事で犯罪社会心理学者の北芝健氏は「どこか切ない事件ですね」と感慨深げにコメント。

 続けて「犯人はおそらく身内、それも生活困窮者ではないか。家族が亡くなったが、葬式も出せずに、やむにやまれず遺棄するしかなかった。顔認証システムを使えば犯人や遺体の身元はいずれわかる。死体遺棄のプロならば、こんなことはしない。犯人はいずれ見つかることをわかっているかのようだ」と話す。

 犯人像についても「東京駅を選んだのがポイント。遺体を遺棄したあと、自分は電車に乗って現実逃避のためにどこかに向かったかもしれない。すでにこの世にいないことも考えられる。とにかく(犯人が)見つかればいいですね」と話す。

 北芝氏は犯人が遺棄場所を“あえて”コインロッカーにしたとみる。

「自宅の押し入れや地面に埋めたりせずに、なぜコインロッカーにしたのか? きっとお墓に見立てたのではないでしょうか。葬式もできず墓も建てられず…。切ないですね」

 サスペンスドラマさながらの“スーツケース事件”は、哀愁漂う結末に向かうのか――。