「だんじり」なぜトラブル起きる

2012年09月20日 18時00分

 だんじり祭の練習をサボった高校生を車で拉致、暴行し全治5か月半の重傷を負わせる事件が起きた。例えて言えば盆踊りの練習をサボったからってボコるものだろうか? いや、それほど岸和田に代表される大阪人のだんじりにかける執念はすさまじい。

 大阪府警西堺署は16日までに、昨年夏に地元青年団の後輩の男子高校生(16=当時)を車で連れ回して暴行し、財布などを奪ったとして、強盗致傷と監禁の疑いで堺市の造園業見習いの男(21)ら5人を逮捕した。

 事件は昨年8月に発生。だんじり祭の青年団の練習を休んだ男子高校生を大阪狭山市内の路上で目撃した容疑者5人が男性を車に押し込み監禁し、顔面を殴るなどの暴行を加え顔面打撲、下あご、前頭骨を折る大けがを負わせた。調べに「だんじりの練習を無断でサボって、電話しても出んかったのでムカついた」と話しているという。

 実はこの事件、当初、警察に「見知らぬ人に殴られた」と説明した。昨年末、親に説得されて先輩らに殴られたことを明かした。「最初から知ってる者にやられたとは言わずに、『知らない人にやられた』と言い張った。3か月ほどたって正直に言うようになり、捜査を本格化した」(西堺署)

 少年が口をつぐんだ理由は「この辺りは祭りへの力の入れようがすごい。参加しなけりゃ仲間外れにされて地区に住んでいられないという意識も皆ある。容疑者のうち数人とは面識があり、事実をしゃべれば当然、地区に居づらくなるという思いもあったかもしれない」(同)。

 最も有名な岸和田市のだんじりは、かつては毎年9月14、15日に行われた。開催日が平日だった場合、公立の小中学校が休みになったという。岸和田出身者は「大人はみんな引き手としていなくなる。そんな時に子供だけでいるのは危険だから」と明かす。祭りのために大人が会社を休み、子供も学校を休まなければいけないというのだから驚きだ。

 そのため、2006年からは敬老の日直前の土、日曜日に行われるようになった。西堺署は「逃走犯が祭りの日だけ戻ってきたこともあったみたいですね」と言う。

 それだけに祭りの陰でトラブルも発生するのかもしれない。前出の岸和田出身者は「だんじりのために一年を生きている人も多い。それだけ特別なものと思っている」とも語った。