東京・北区のラーメン店で昨年9月、隣に座った男性客(49=当時)とトラブルになり、厚底ブーツで顔面や腹部を何度も踏みつけ死亡させたとして傷害致死罪に問われた元会社員、今西伸一郎被告(38)に懲役7年(求刑懲役10年)の判決が下った。

 園原敏彦裁判長は「体重120キロの体格で、抵抗しない相手に一方的に激しい暴行を加えた。相手のささいな言動に立腹しており(量刑を)軽くする事情は見当たらない」としたが、ネット上では「人を殺して7年かよ!?」と量刑の軽さを驚く声が噴出している。

 今西被告は犯行後、男性がぐったりしている横で、みそラーメンと半チャーハンを注文。駆けつけた警察官が「食べている場合じゃないだろ!」と一喝しても「最後の晩餐だ。捕まっちゃうからな」と完食するなど悪びれる様子もなく、心証の悪さが指摘されていた。だが、裁判長はこれらを「眉をひそめるべきことだが、刑罰の目的に有意とは言えない」と結論付けた。

 日本大学の板倉宏名誉教授(刑法)は「懲役7年という判決はとても不思議です。殺害した後にラーメンを食べていたことで逃走や証拠隠滅を図らなかったと評価して量刑2年くらい差し引いているのかもしれないが、こうした心証の悪いことをすれば通常、裁判員裁判ではもっと量刑が重くなる傾向にある」と指摘する。

 一方「容疑者にラーメンを提供する神経が分からない」などと批判にさらされた店も多大な損害を被った。同店の関係者は「事件の時に店にいたスタッフはすでにやめてしまったが、当時はもう怖くて、ラーメンを作って提供するしかない状況だったそうです」と振り返った。

 店は事件後、客足が遠のき「書き入れ時のひと冬、毎月の売り上げが100万円ほど落ち込んだ」といい、事件は店の経営にも大打撃を与えた。