地方議会が今年も大荒れだ。セクハラで裁判所に提訴された村長が、議会で不信任決議されるや議会解散の“暴挙”に出る異常事態が起きた。恥の上塗りか、身の潔白を証明する秘策でもあるのか?

 仰天の行動に出たのは宮城県大衡村で5期19年を務める跡部昌洋村長(66)。村役場の50代女性職員が昨年4月以降、村長から10回以上セックスを迫られ、約5か月間に1300通以上もの脅迫めいたメールが送られるなどのセクハラ&パワハラ被害を受けたと今月、仙台地裁に1000万円の損害賠償訴訟を起こした。

 メールのコピーのほかに、村長が女性職員に書かせた「何事があっても別れることはしないし、長いお付き合いをすることを誓います」という誓約書や、村長自身の「(女性職員に対し)人権侵害はいたしません」と録音された肉声テープなどが物証で公開された。

 事態を重く見た村議会は16日、村長の不信任決議案を可決。この種のスキャンダルで不信任決議まで通れば辞任必至だが、村長は「いろいろ批判はあると思うが、自分なりに考えた」と17日、“伝家の宝刀”である議会解散権を行使したのだ。

 この村長は今回のセクハラだけでなく、昨年から疑惑の渦中にいた。

「父、おじも村長を務めた地元の名士で、3年前にはトヨタの工場を誘致し、“王様”になっていた。昨年、公金着服事件が発覚し、書類送検されたが、不起訴で乗り切っていた」(地元関係者)

 公選法では解散翌日から40日以内に選挙を行わなければならないが、特例で統一地方選(4月26日投開票)に組み込まれた。村議選後、再び議会で村長の不信任決議が可決されれば、今度は解散権はなく自動失職することになる。

「万一、無実なら自ら辞職し、出直し選に出る方法もあったはずだが、開き直りの解散では『俺も死ぬならお前らも死んでしまえ』と言っているようなもの。権力にいると周りが見えないから、こんな往生際の悪い行動に出る」(同関係者)

 いずれにせよ、生き恥をさらすハメになりそうだ。