【教え子殺害】赤とんぼ先生 不倫の末か

2015年03月17日 07時00分

 赤とんぼで運命が変わってしまった。東邦大(千葉)の大学院生菅原みわさん(25)を殺害したとして、福井大大学院の特命准教授、前園泰徳容疑者(42)が逮捕された事件が関係者に衝撃を与えている。前園容疑者は赤とんぼの研究で有名で、2人の接点も赤とんぼ。菅原さんは前園容疑者の指導の下、同容疑者が住む福井県勝山市で赤とんぼ研究を行っており、周囲からは「秘書」と思われるほど2人はいつも一緒にいた。福井県警捜査1課と勝山署は恋愛関係のもつれがあったとみて捜査している。

 前園容疑者は12日ごろ、勝山市村岡町の路上に止めた軽自動車の中で菅原さんの首を絞めて殺害した疑い。菅原さんは在籍する東邦大大学院を休学しており、現在は同市で研究を続けていた。

 殺害後、前園容疑者はすぐには通報せず、自ら軽自動車を運転して病院へ。妻を通じて110番していた。警察には当初「菅原さんが事故を起こしているのを見つけ、助けようとした。菅原さんの車が雪で動かなくなり、自宅から徒歩で助けに行った。駆け付けると車内でぐったりした菅原さんを見つけた」と説明。しかし、車に事故の形跡はなく、死因が首を絞められたことによる窒息死だったため、警察は殺人事件と断定した。

 福井大大学院教育学研究科に所属する前園容疑者は同市で妻と子供2人で住んでいた。赤とんぼの生態研究をしており、地元では小中学校に講演に行くなど“とんぼの先生”として親しまれていた。また、同市の環境保全推進コーディネーターを務め、昨年に市特別功労賞を授与されている。

 前園容疑者を取材したことがある専門誌のライターは「数年前に“昆虫好き”というテーマで取材したんですが“昆虫”ではなくて、福井の教育レベルの高さや産業についてなど、福井県の良さについて一方的に熱弁を振るい、ずいぶん暑苦しい人だなと思った。学者だから変わり者っぽいのもポーズなのかもしれませんが、普通じゃない様子でした」と話す。

 2人の接点も赤とんぼだった。前園容疑者が2009年から12年にかけて東邦大で非常勤講師をしていたときに、菅原さんと知り合ったとみられる。特に11年8月のある出来事をきっかけに菅原さんは赤とんぼにのめりこんでいく。

 11年7月31日から8月4日にかけて、菅原さんら16人の東邦大学生が同市内で野外実習を行った。実習の担当者は前園容疑者だった。8月1日に同市内の法恩寺山山頂で菅原さんが羽にマークのついた1匹の赤とんぼを発見した。このマークは以前、平地の水田で羽化したばかりの赤とんぼに前園容疑者がつけたものだった。これが平地から山地に移動する赤とんぼを確認した国内初のケースという大発見で、のちに菅原さんは地元紙の取材に「赤とんぼ1匹で人生が変わった」と振り返っている。

 発見後、菅原さんは同市に住み込みで赤とんぼの研究を行い、同時に前園容疑者とも親しくなっていく。その親密さは前園容疑者のブログ(すでに削除)でもわかる。「菅原みわ記事」というカテゴリーまであり、前園容疑者が菅原さんについて書いたり、菅原さん自身が書いたりしたものが掲載されていた。

 前園容疑者が書いた13年3月7日付ブログでは「菅原さんが大学院進学を決め、合格しました」と報告し「しっかりしたバックボーンのある『環境教育のプロ』を育てていきたい」と“恩師”として表明。同年11月28日付には同じく前園容疑者が「(菅原さんは)大御所の先生方にもしっかり顔を覚えられており『前園くんの秘書業がすっかり板についてきた』とからかわれたほどです」とつづった。秘書業が板につくほど、2人はいつも一緒だった。

 菅原さんが書いたブログによると、12年3月から同市に住んでいたという。翌年の大学卒業を前に実家のある千葉に帰ったが「私の中では勝山が故郷です」と書き残しており、大学院進学後も同市を頻繁に訪れていた。最近は前園容疑者の講演の手伝いをしていたようだ。

 しかも、前園容疑者と菅原さんは家族ぐるみの付き合いで、頻繁に同容疑者宅を訪れていたのが目撃されている。前園容疑者は殺害への関与を認めているというが、不倫の末の犯行の可能性が高く、双方の家族にとってはやりきれない事件となった。