神奈川県横浜市の名門・関東学院高校で発覚した生徒の集団万引きで、同校は該当生徒を謹慎処分とした。昨年9月ごろから、同校1年生の男子生徒36人がコンビニやスポーツ用品店などで万引きを繰り返していたという。盗んだ物は総額約30万円相当。万引きといえば、不良学生の専売特許のイメージが強いが、最近は一見優等生に見える生徒がゲーム感覚で行うことも少なくない。本紙は被害に遭った駄菓子屋さんを直撃した――。

 関東学院高校は中・高一貫教育で、毎年有名大学に多くの合格者を出す名門として知られる。校訓は「人になれ 奉仕せよ」。自分の利益だけを考えずに社会貢献することが大事という意味だ。

 そんな校訓とは真逆の行為となったのが今回の一件。本紙でも昨報したように、昨年9月ごろから1年生の男子生徒36人が横浜や川崎市内のコンビニやスポーツ量販店で万引きを繰り返していたのだ。

 事件が発覚した発端は先月5日、男子生徒4人が横浜市内のコンビニで万引きし、逃走。店員が制服などの特徴から同校の生徒であることを特定し、学校側が4人を聴取した結果、万引きを認めたという。

 それだけでは終わらない。その後の調査で計36人の万引き行為が判明。なかには数十回繰り返していた者もいたという。

 盗んだモノは菓子やペットボトル飲料、携帯電話の充電器、スマートフォンカバー、カバンなど多岐にわたり、被害額は約30万円にのぼる。学校側の聴取に対し、生徒は一様に「欲しかったから」と答えているという。

 昔は素行不良の生徒がリーダーとなり、手下の生徒に万引きを強要することが多かったが、最近は“優等生”の仮面をかぶった一見普通の生徒が何の罪悪感も持たず、ゲーム感覚で万引きを行うケースが増えている。

「万引きした36人は5クラスにまたがり、全員が親しいわけではない。集団でもせいぜい4人程度。学校近くの店よりも、帰宅途中の横浜市内や川崎市内で万引きしていた。1人を聴取すると、そこから『あいつもやってる』と芋づる式に増えていったことから、特定の首謀者がいたわけではない」とは同校関係者。

 実際、同校生徒の万引き被害に「過去に何回も遭った」という駄菓子屋店主の男性はこう証言する。

「うちの場合は2人組で『ちょっと見ていっていい?』とやって来る。お菓子をケースごと盗むような大胆なことはせず、あとで在庫確認すると2個3個足りなくて『やられた…』と、その時に初めてわかる。防衛策? ほかのお客さんもいるし、2人を同時に注視することは無理だよ。関東学院高校の生徒は優秀で外見も普通だから、油断してしまう部分もあるかもしれない」

 とはいえ、2個3個の菓子ならまだかわいい方。万引きを“ネタ”としか思っていない連中の間では、より目立つモノを盗んだ者が「おまえすげぇな(笑い)」となり、ほかの者より優位に立てることが多い。同店主が続ける。

「1度、箱に入った拳銃のオモチャを一般のお客さんに見せようとしたら、なぜか箱が軽い。開けたら、拳銃がまんま盗まれていた。高校生が欲しがるようなオモチャじゃないし、ゲーム感覚なのだろう」

 同校は先月25日に神奈川県警の生活安全課の担当者を招き、全校生徒を集めて講習会を実施。万引きした生徒36人には登校謹慎処分を科した。

「ほかの学生同様、登校して授業は受けるが、それ以外に、前日何をやっていたかの報告や反省文の提出をさせている。部活への参加も禁止。テストが終わり、ほかの生徒は休みに入っているが、彼らは毎日登校させている」(同校関係者)

 万引き=犯罪という意識をしっかり持たせることが重要なのは言うまでもない。