神奈川県川崎市の多摩川河川敷で中学1年上村遼太さん(13)が先月20日に殺害された事件で、川崎署捜査本部は6日午後、殺人容疑で逮捕した主犯格の少年A(18)を殺害現場に立ち会わせ、実況見分した。ヘリからも姿が映らないよう、特製箱に覆われての完全防護だった。


 殺害時の状況や場所などを確認するために行われる実況見分は、午後1時すぎから約2時間行われた。周辺道路は規制され、Aは高さ2メートルほどの灰色の箱型カバーに覆われて現れた。箱の表側の下半分だけは足元が広く見られるように開放されていた。この日のために用意した特製ボックスだという。


 Aは車から徒歩で河川敷へ移動し、先に用意された小型トラックほどの大きさのブルーシートで覆われたテント内へ入った。その後はテントごと移動しての実況見分となった。


 重大事件の実況見分で、容疑者がブルーシートで目隠しをされるのは珍しくはないが、それでも移動時に上空のヘリコプターからのカメラや、地上からの望遠カメラで姿がとらえられることは多い。しかし、神奈川県警としては今回、絶対にAの姿をさらしてはいけない状況だった。


 20歳未満である少年Aの実名や顔写真の報道は少年法で禁じられているが、5日発売の「週刊新潮」が事件の残虐性や社会に与えた影響などを考慮し、実名と顔写真の掲載に踏み切った。またネット上には真偽不明のさまざまな写真が拡散。さらにAの自宅や上村さんの通夜をネットで動画中継する者も出現するなど過熱の一途だ。特製箱の投入にネット上では「過保護過ぎる」と批判されたが、この日、Aの姿が“流出”すれば、県警の責任問題になりかねない。


 また、Aが上村さんのスマートフォンを「川に投げ捨てた」と供述したことも6日、捜査関係者への取材で分かった。今後は殺人容疑で逮捕された他の少年2人(いずれも17歳)も実況見分を行う予定だ。