元航空幕僚長、田母神俊雄氏(66)の政治団体「田母神としおの会」の政治資金が“消えた”事件で4日、同氏が声明を出した。横領が疑われる同会の会計責任者を告訴するとし、ツイッターでは昨年の東京都知事選で田母神氏の選対本部長を務めたテレビ番組制作会社「チャンネル桜」の水島総社長(65)を名誉毀損と批判した。

 田母神氏は都知事選にあたり、支持者から寄付を募り、約一億数千万円集めた。2月の会見では「少なくとも3000万円が会計責任者に横領されていた」と説明。この日の声明では会計責任者を告訴するとし、同責任者と上司にあたる同会事務局長には1日付で辞表を書かせた。

 横領事件は、水島氏が「チャンネル桜」の番組で暴露して発覚。当時、水島氏は本紙に「大うそをついてますよ」と田母神氏の説明に疑問を呈した。これを受け、田母神氏はツイッターで2日、「彼が私を嘘つき野郎というならば名誉毀損で訴えればよい。私は近々彼を名誉毀損で訴える。私が勝つことが明らかだからだ」と予告した。

 事務所関係者は「会計責任者への告訴状は作成次第、警視庁に対して訴え、記者会見を予定しています。水島氏への名誉毀損は決定ではありませんが、その方向」と話した。かつての盟友同士がこじれていることに、保守団体関係者は「田母神氏は水島氏を訴えることで横領という犯罪から世間の目をそらせたいのでは」と解説する。法廷で田母神氏VS水島氏となれば、両者とも保守陣営の有名人だけに、泥仕合として注目されてしまう。

 水島氏は本紙に「支持者は泥仕合を見たいと思っているわけではありません。真実を知りたいのです」と田母神氏に冷静さを求めたうえで、こう呼びかけた。

「チャンネル桜に出演して、書類と通帳を見せてくれれば本当のことが分かります。私の質問にも答えてほしい。通帳を見ればすぐですよ。どうしてもダメというなら書類と通帳のコピーを送ってくれてもいい。私は争いを求めていません」(水島氏)。田母神氏がどう応えるか。