新実死刑囚まだ洗脳状態 法廷で「サリンは救済の一環」

2015年02月20日 11時00分

 オウム真理教元信者の高橋克也被告(56)の裁判員裁判が18日に東京地裁で開かれ、地下鉄サリン事件で被告と同じ送迎役を務めた新実智光死刑囚(50)が証人出廷した。教団にいたころと同じ丸刈りの新実死刑囚は「地下鉄サリン事件は救済の一環だった」と主張し、法廷をあぜんとさせた。

 1995年3月の事件前日、東京・渋谷にあったアジトでの生々しいやり取りが語られた。

「興奮して戻ってきた井上君(嘉浩死刑囚=45)が『新聞に出るようなことをやってきた』と言い、皆が聞いても『秘密、秘密』と大騒ぎだった」

 こっそり別室で井上死刑囚を問いただすと、捜査のかく乱を狙った宗教学者の島田裕巳氏宅爆弾事件、教団の青山総本部火炎瓶事件の2つの“自作自演”と「強制捜査を妨害するために明日、地下鉄にサリンをまく」計画を聞かされたという。

 驚くべきは事件に対する新実死刑囚の感覚だ。

「(実行後)アジトに戻ると、緊急報道で地下鉄駅で人が倒れているのを見た。強制捜査を引き延ばすというグルの意思を達成できてうれしかった。上九(当時の山梨県の上九一色村)に戻り麻原尊師(教祖・麻原彰晃死刑囚)に報告すると『これはポアだからね』と、おはぎと桃の缶ジュースをもらった」と淡々と語るのだ。弁護側から「あなたにとって麻原とは」と聞かれると、「まあ、グル(尊師)ですね。自分を導いてくれる魂。自分自身も神秘的体験を通して、麻原尊師は魂を高い世界に移し変える神秘力があると確信している」と麻原死刑囚への思いの丈を語った。

「人命を奪うことと神秘体験がどう結びつくのか」と当然の疑問を弁護側からぶつけられても「神秘体験を通して意識が高い世界に移ったので、非合法活動で(他人に)苦痛を与えても、そのエネルギーを私たちが受け取れる。“真実は神のみぞ知る”で、今でも救済だったと思っている」とけむに巻いた。

 いまだ麻原死刑囚の影響下にある新実死刑囚の口から帰依の心理を語らせることによって、弁護側は一連の教団の事件が“グルの事件”であることを印象付ける作戦だったとみられる。