ナッツ姫「実刑判決」の背景

2015年02月14日 09時00分

 いわゆる“ナッツリターン”騒動を起こし、離陸直前の飛行機の航路を変える航空保安法違反など、5つの罪に問われた大韓航空前副社長、趙顕娥(チョ・ヒョナ)被告(40)の判決公判が12日、ソウル西部地裁であり、懲役1年(求刑懲役3年)の実刑判決が下された。

 韓国経済を支配する財閥グループの一角をなす家の娘だけに執行猶予刑が予想されたが、厳しい判決となった。「韓国呪術と反日」(青林堂)などの著書がある文筆人の但馬オサム氏は「実刑とは驚きました。戦後の韓国経済を引っ張ってきた財閥システム崩壊の象徴的な出来事です。支持率がどんどん落ちてきた朴政権が、国民感情をくんで、この実刑判決を出させたのでしょう」と分析する。

 韓国の経済は10大財閥系企業がGDPの70%を握る財閥依存のシステムで、財閥と政治家の癒着も指摘されてきた。各財閥は司法試験を受ける学生に積極的に経済支援し、その学生たちが検事や裁判官となって司法の中枢にいるため、財閥は司法さえも動かす力があるといわれてきた。それを覆す判決ともいえる。

 それだけに「今後、財閥経済は衰退していくでしょう。韓国人は強い者には徹底服従しますが、その抑圧者が力を失うと『水に落ちた犬は叩け』とばかりに、攻撃が始まる。歴史が証明しています」と但馬氏。

 判決には朴槿恵大統領(63)の意向が働いたともみられる。「大統領は司法を動かすことができます。朴政権は人気取りのため、民衆の日頃の財閥に対する怨嗟の爆発を受け止めた。財閥経済がかつてのように強大な力を持っているのなら、実刑が出ることはなかった。財閥経済の衰退と朴政権の人気取りがこの判決になった」(但馬氏)

“ナッツリターン”という流行語まで生まれた事件は韓国経済の転換点になるかもしれない。