野党から安倍政権に「人質事件」の批判がない理由

2015年02月11日 16時00分

「イスラム国」の人質事件を受けて野党が政府批判を控えている。「テロに屈しない」という大義名分に何も言えなくなっているわけだが、一体いつまで沈黙するつもりなのか。

 維新の党関係者は「予算委員会で質問に立つ際の打ち合わせで、人質事件のことで政府を追及するのはやめようという話が出ました。イスラム国が悪いのは当然だけど、政府の対応がどうだったかを聞くのも必要じゃないですか。でも、それもやりにくい状況になっています」と嘆息する。

 政府批判を控えるムードは、永田町というより世論にある。

 戦場ジャーナリストは「2004年のイラク人質事件のときは官邸の世論誘導もあり、自己責任論で盛り上がりました。今回も似ていますが、自動的に世論が形成された点が違います」と指摘する。そして、政府関係者も「政府が世論操作したなんてことはありません」と話す。

 確かな野党と評される共産党も例外ではない。永田町関係者は「以前、新人の池内沙織衆院議員がツイッターで安倍首相批判をして、志位(和夫)委員長が注意する騒動がありました。あれで志位氏の評価が上がったというのです」と明かす。

 池内氏(32)は人質殺害を受けて、「安倍政権の存続こそ、言語道断」とつぶやき、志位氏(60)から不適切と注意されていた。

「直近の選挙で共産党は票を増やしています。これはもともとの支持者ではない人が投票したということになる。この勢いを保つためには、コアな支持層へのアピールよりも、幅広い層へのアピールが必要。だから世論を読まなきゃいけない。大局的な判断ができたというので志位氏が評価されているのです」(前出の永田町関係者)

 共同通信の世論調査では人質事件への安倍政権の対応を「評価する」が6割を超えている。安倍晋三首相(60)は当分の間、枕を高くして寝られるだろう。