東京都新宿区歌舞伎町のクラブで、泥酔させた客の財布から現金を抜き取ったとして、警視庁組織犯罪対策2課は2日までに、昏睡強盗の疑いでナイジェリア国籍のクラブ経営者(49)と店員の男女6人を逮捕した。

 同課によると、強い酒を飲ませて意識もうろうとなった客をコンビニに連れて行き、現金自動預払機(ATM)で引き出させた金を抜き取る手口を繰り返したとみられ、昨年2月以降、11件計約370万円の被害が確認されている。

 逮捕容疑は昨年11月22日未明、神奈川県の男性会社員(41)を昏睡状態にし、約37万円を盗んだ疑い。

 歌舞伎町でナイジェリア人の昏睡強盗といえば、2012年にスナック店経営のナイジェリアの男ら10人が逮捕された事件が思い起こされる。やはり、強い酒を飲ませ昏睡状態にさせてATMで引き出し、被害総額は10億円かといわれた。13年にはクラブ経営のナイジェリアの男ら4人が同じ手口で逮捕され、被害総額は3億円超とも。

 歌舞伎町事情通は「悪い客引きは、酔ってる人、気の弱そうな人を見つけては、『ブラザー』『トモダチ』などと声を掛けて、強引に店に連れ込む。スナックでもクラブでも店内では日本人の女が待ち構えて安心させ、飲み物にアルコール度数96度のウオツカを混ぜて、泥酔させる」と言う。

 泥酔客は手持ちの現金が足りなくなると、女に言われるままATMに。暗証番号を入力しているところを盗み見されていることに気づかず店に戻る。スキを見て、店の誰かがカードを抜き取り、現金を引き出すという手口だ。

「04年にスタートした“歌舞伎町浄化作戦”による暴力団がらみの違法風俗店、ぼったくり店の摘発前から、ナイジェリア人は屈強さと語学の堪能さで、暴力団経営の店で客引きとして重宝され、歌舞伎町に根を張ってきたんです。いまは海外マフィアのバックなどをちらつかせ、悪さをしている」(同)

 歌舞伎町のコマ劇場跡地には、都内最大級のシネマコンプレックスが4月にオープンする。安全な歌舞伎町を国内外にアピールするのは、かなり難しそうだ。