【秋葉原無差別殺傷】若者特有の犯行ではない…「中高年ほど危ない」ネット依存

2015年02月04日 07時00分

湯浅さんは事件現場で手を合わせた

 ネット書き込みにまつわる“ストレス発散”は若者だけではない! 2008年6月に東京・秋葉原で7人が死亡、10人が負傷した無差別殺傷事件で2日、最高裁第1小法廷は殺人罪などに問われた加藤智大被告(32)の上告を棄却し、一、二審の死刑判決が事実上確定した。加藤被告は「ネット掲示板という居場所を壊された」ことを動機に挙げていた。言葉通りなら若者特有の犯行と思えるが、識者は「中高年ほど危ない」とネット依存に警鐘を鳴らす。

 薄暗い法廷で桜井龍子裁判長は「遺族の処罰感情は峻烈」「動機や経緯に酌量の余地はない」と述べ、「上告は棄却する」と判決を下した。話し始めてから1~2分で加藤被告の死刑が確定へ。最高裁公判には被告は出廷しないため、本人はその場にいなかった。その後、加藤被告にナイフで刺された湯浅洋さん(61)が会見した。

「秋葉原事件ではなく、加藤智大事件だと思う。加藤には生きていることの価値をもう1回考えてもらいたい」と、罪を自覚して、心から謝罪できるようになってほしいと求めた。

 加藤被告は「居場所」だったネット掲示板を自分の部屋、同じ掲示板を利用するユーザーを家族と思っていたという。そこに自分に成り済ました人物が現れ、居場所を破壊。成り済ましという嫌がらせが、どれだけ重大なことになるかを思い知らせるため、秋葉原で犯行に及んだと主張してきた。

「理解できなかった」と話す湯浅さんには気になることがあるという。

「若い人と話すと、加藤って呼び捨てにせずに、『加藤さん』と呼んで、『なぜしたか分かる』とも言っていた。若い人たちにも事件についてよく考えてもらいたい」

 この事件は、若者の犯罪と指摘されることが多い。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「ネットには加藤被告を“神”と呼ぶ人もいます。不満を訴えるために大それたことをやるクソ度胸があり、そこまでして分かってもらいたいのかという驚きの気持ちで神と呼ぶのです」と指摘する。

 また、「ネットを使って承認欲求を満たしたい人がすごく多くなっています。つまようじ動画の少年もそう。秋葉原の事件から6年半がたちますが、ネットとの付き合いをコントロールできている人と、のめり込んじゃう人と二極化しています。承認欲求が満たされないと暴走してしまうのです」(井上氏)。
 井上氏が注目しているのは若者ではなく、中高年だという。

「スマホのおかげで24時間ネットに接続するような中高年が増えています。若いときにはネットがなかった分、遅れてきた青春を取り戻すかのごとく、食事の写真をSNSにアップしたり、『いいね!』やコメントを求めたり。40~60代の中高年世代がネットで承認欲求を満たそうとしているのです」

 中高年のネットユーザーにはキャラ作りをしている人もいる。

「うまくいっているときはいいのですが、何かの弾みでキャラが崩壊して、素の自分がばれてしまうと現実世界で逆ギレしてしまう。こうしたケースが起きると心配しています」

 承認欲求は若者にも中高年にもある。ほどほどにした方がいい。