【イスラム国・日本人拘束事件】後藤さんと女死刑囚 人質交換の実現性は?

2015年01月27日 07時30分

【イスラム国・日本人拘束事件】人質にされたジャーナリスト後藤健二さん(47)に関して、ヨルダンで拘束されているイラク人女性死刑囚の釈放をイスラム国側は訴えている。事態は2億ドルの身代金から一転、人質交換という新たな局面を迎えた。

 イスラム国が釈放を求めたサジダ・リシャウィ死刑囚は1970年生まれのイラク人の女だ。05年にヨルダンの首都アンマンのホテル結婚式場で、夫とともに招待客に紛れ込んで自爆テロを試みた。ところが、同死刑囚が体に巻きつけた爆弾は起爆せず、夫だけが自爆した。

 このテロはイスラム国の前身である「イラク聖戦アルカイダ組織」が企て、計3か所のホテルで約60人が亡くなる同時多発自爆テロだった。同死刑囚の兄が同組織元指導者のザルカウィ容疑者(06年に死亡)の側近だった。イスラム国の創始者メンバーが次々と死んでいく中で、同死刑囚は06年に死刑判決が出た後も執行されずにヨルダン当局の管理下に置かれ、イスラム国の間ではシンボル的な存在となった。

 ヨルダンでは先月、イスラム国を空爆したパイロットが拘束され、同死刑囚との人質交換も取りざたされた。今回、後藤さんに代わったことで、ヨルダン政府がイスラム国の要求に応じるかは不明だ。ヨルダンのアブドラ国王は親日家で知られるが、60人殺害に共謀した同死刑囚はヨルダン国民にとっては許し難い存在。簡単に人質交換に応じれば、国民世論の反発は必至だからだ。

「日本でいえば、地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教の幹部のようなもので、ヨルダン政府も簡単に解放できない。ただ、人質交換自体は身代金支払いをしないと言っている米国もイスラエルも行っている。アブドラ国王の信頼が失墜しなければ人質交換はあり得る」(神浦氏)

「表立った身代金要求から人質交換となったことで、日本政府はヨルダン政府へ“裏交渉”も可能となる」とは永田町関係者。交渉の主導権はヨルダン側に移ったとはいえ、日本側の“誠意”次第ともいえる。後藤さんとヨルダン空軍のパイロットも含めた2対1の変則人質交換も含め、今後の交渉に注目が集まる。