無罪主張の高橋克也被告が窮地 中川死刑囚もVX事件で不利証言

2015年01月24日 12時00分

 一連のオウム真理教事件で起訴された元信者・高橋克也被告(56)の第5回裁判員裁判が22日、東京地裁で開かれ、前回に続きVX事件の審理が行われた。被告は猛毒VXを使った2つの事件に運転手や実行補佐役として関与したとされるが、弁護側は「VXの殺傷能力を知らなかった」と無罪を主張している。

 公判には検察側証人として、教祖・麻原彰晃死刑囚(59)の主治医だった教団元幹部の中川智正死刑囚(52)が出廷。同死刑囚は坂本弁護士一家殺害や松本サリン、地下鉄サリン事件に関与し、2011年に死刑が確定している。

 中川死刑囚は、脱会信徒を支援した男性のVX殺害謀議の場に「口を出して議論に影響を与えてはいないが、全く聞いていないとは言えない」として、高橋被告が参加していたと証言。前日に証人出廷した井上嘉浩死刑囚(45)も「麻原の『VXをひっかけてポア(殺害)しろ』との命令を伝達した」としており、同被告は追い詰められている。

 中川証言では、公安のスパイ嫌疑をかけ、殺害した大阪市の会社員男性に関する生々しいやりとりも明かされた。

 男性が柔道場に通っていたことから「柔道家は足が遅いから追われても大丈夫」と実行役の新実智光死刑囚(50)らに助言したが「(襲撃)実行後、男性に追いかけられた新実さんがヒザに手をつき『速かったじゃないか』とぜいぜい言っていた」と証言。傍聴席から失笑が漏れた。VXをかける際に注射針ごと男性に刺してしまったことを新実死刑囚は「ハチになった」と独特な表現で報告したという。

 グル・麻原の命ずるままに「ポア」を弾丸決行していたため「誰も(会社員男性の)顔を把握しておらず仕切り直した方がいいと思っていた」と中川死刑囚。井上死刑囚も前日の法廷で「(会社員男性の)部屋をのぞくと男性が漫画を読んでいて本当に公安のスパイなのかと疑った」と話しており、確信のないまま犯行に突き進んだ実態が浮かび上がった。