逮捕「つまようじ少年」の動機

2015年01月20日 07時10分

 スーパーで商品のスナック菓子につまようじを混入したりコンビニで万引きするように見える“犯行動画”を次々と投稿し指名手配されていた東京・三鷹市の無職少年(19)が18日、コンビニへの建造物侵入容疑で警視庁に逮捕された。滋賀県のJR米原駅で身柄を確保された少年は、逮捕状が出てから約3日間におよぶ逃走劇の最中も「超余裕万引きしてみたw」「全力逃走中w」と題した動画で警察を挑発し続けた。「少年法を改正するためにやった」などと容疑を認めているというが、目的はそれだけだったのか――。

 逮捕容疑は、5日午後7時ごろ、いたずらの目的で東京都武蔵野市のコンビニに侵入した疑い。警視庁は窃盗や威力業務妨害の疑いでも捜査を進める。少年をめぐる一連の騒ぎは、11日付で「店の商品にいたずらしてみたw2」と題して動画サイト「ユーチューブ」に投稿された“犯行動画”に端を発する。食品への異物混入が社会不安を呼んでいる最中、スナック菓子につまようじを刺し入れるという悪質なものだった。その後もコンビニなどで万引きを“実況”する動画を立て続けに投稿していた。

 逮捕状発令が明らかになると、「リアル“逃走中”の完成です」と逃亡開始を宣言。逃避行の先々で「有名人になっちゃったからさ。(殺人事件で手配され2年7か月逃亡した)市橋達也になった気分」「無能警察はまだ私を捕まえられないんですよ」などと警察を挑発していた。

 関係者は「当初、警視庁の捜査1課が少年事件課に応援を申し出たんですが、メンツを気にした少年事件課が断り、結果的に少年を取り逃した。その間にも少年は警察の無能ぶりをあざ笑う動画を連投。同課は『ニュースで取り上げて刺激したから少年が逃げたんだ』と報道したテレビ局を締め出すなど、八つ当たりもいいところだった」と明かす。

 揚げ句、少年の身柄を滋賀県から東京に移送する際も、東京駅に報道陣が集まったのを察知すると、わざわざ品川駅で少年を下車させるなど、過剰な“マスコミ対策”に打って出た。ここまで警視庁のメンツを丸潰しにした少年は何者なのか。

 少年が2~3か月前から入居していたのは生活保護受給者ら約50人が暮らす古びた寮。住人は「月の家賃が8000円~1万円で3食付き。食事は食堂で取る決まりで、風呂も共同。住人同士で顔を合わせる機会はあるけど、20歳前後の兄ちゃんは見覚えないなあ。ここは皆、事情があるから会話もあまりない」と語る。ほかの住人も少年を認識していなかった。

 少年は近所付き合いというリアルな交流よりも、ネット上のバーチャルな交流を最優先していたようだ。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「近年、SNSが実社会の知人同士の手早い連絡手段になっていて、ネット社会にどっぷり漬かっている人ほど孤独感を深めている。この少年もそのタイプ。捕まらないためには出歩かないのが一番だが、万引きや異物混入をやっても、思ったほどネット世界で称賛されなかった。逃走実況をすればもっと耳目を集められると自己承認欲求を抑えられなくなったのでは」と指摘する。

 つまようじを混入したスナック菓子は少年の部屋から発見されたといい、自分で店に持ち込んだものを取って万引きに見せかけた“ヤラセ”動画も含まれていたようだ。動画では「私は神を超えた」「(パフォーマンス動画で有名な)HIKAKINを超えた」などと人一倍、自己顕示欲が強い性格もうかがえる。

 名古屋駅から京都駅に向かう電車内で通報された少年。少年の顔を知っている人はほとんどいないはずだが、なぜ通報されたのか。

 井上氏は「関東近辺の車内ではブツブツしゃべっている人は珍しくもないし、知らんふりの人が多いでしょうが、地方都市のローカル線では目立つ。実況の様子を“不審人物”として通報されたのでしょう。それが彼が世間知らずだったところ。関東エリアで逃走を続けていたらもっと逮捕に時間がかかったかもしれない」と分析する。

 つまようじ少年は「無能警察」から厳しい取り調べを受けることになる。