ショッキングな事件が起きた。和歌山県警海南署は9日、同県海南市の路上で同市の会社役員女性(38)を包丁で刺し大けがをさせたとして、殺人未遂の疑いで同市の中学3年の少年(15)を現行犯逮捕した。同署は通り魔的な事件の可能性もあるとみて詳しい動機を調べている。

 現場はJR海南駅から約1・5キロ離れた住宅街。女性は近くに住んでおり、少年に包丁で背中と左太ももを刺されて重傷を負ったが命に別条はなく、意識もあるという。少年は「殺すつもりで刺した」と話し、容疑についても「間違いありません」と認めている。ただ少年は女性と面識がなかったとしている。

 少年の行動には疑問点が多く残る。女性の悲鳴を聞いた近くの住人が通報した後も警察がやってくるまで現場にとどまったという。逃げるでもなく、そのまま居座った少年は、さらに不可解な行動に出た。警察が到着するまでの間、「少年は倒れた女性に自分の上着をかけていました」と捜査関係者。上着をかけた理由については「追及しているところ」(同)と判明していないが、謎は深まるばかりだ。

 同市の教育委員会によると、少年は始業式のあった8日は学校に行ったが、「11月に家庭内において精神的な不安があるということで(保護者から)『しばらく休ませます』と連絡があり、15日程度の連続欠席があった」という。

 また、8日には「ふざけあいの中で、友人の口をハンカチでふさぎにいった。ことがことなので、(少年の)家庭に報告を行った」と学校でいさかいが起きていたことも明かした。学校側はこの日に、臨時の会合を開き生徒との密な関係を築くことを確認したばかりだという。