ナースシューズばかり100足も盗んだ男が28日までに、新潟西署に逮捕された。フェチ心を刺激してくる靴に魅了された男たちは、実は驚くほど多い。今年1月には住所不定の男が、東京・銀座の高級クラブ更衣室からハイヒールを盗んで逮捕された。その後、男が使っていたネットカフェのブースから、なんと448足ものハイヒールが押収されたというから驚かされる。想像以上に多い“靴好き変態”の生態を現役女性販売員らが語った。

 新潟西署は28日までに、病院や介護施設からナースシューズと呼ばれる看護師用の靴ばかりを連続して盗んだとして、窃盗容疑で新潟県村上市の無職磯辺常仁容疑者(41)=窃盗罪で起訴=を逮捕、追送検した。


 署によると「性的欲望を満たすためにやった。ナースシューズを約100足盗んだ」と供述している。新品ではなく、女性が使用したものを選んでいたという。


 磯辺容疑者は、8月に新潟市内のドラッグストアから従業員のナースシューズ1足を盗んだとして10月7日に逮捕、その後起訴された。追送検容疑は、2009年ごろから今年8月までに、新潟市内の病院や介護施設に患者や見舞客を装って侵入し、ナースシューズ14足(約9500円相当)を盗んだ疑い。


 女子生徒の上履き、若い女性のハイヒールなど女ものの靴が盗まれる事件は頻繁に発生するが、犯人は「靴フェチ男」がほとんど。靴販売の美人店員に“靴を愛する変態”の生態を聞くとなんとも驚くべき事実が次々に分かった。


 まず、女性販売員に試着させる男性客が多いという。主に「彼女へのプレゼント選びで…」との理由で、多いときは10種類もの靴を試着させ、脱ぎ履きする行為を凝視する。女性用高級靴販売員のAさんは「私を立たせたり、脚をクロスさせたり、座って脚を組ませたり。靴と同じくらい脚を見てきますね」。


 こういう男は、決して贈り物選びに熱心なわけではない。「彼女の足のサイズは24センチと言っていたのに、私の履いた23センチを買っていく」(同)というから、明らかにあやしい。


「短時間でも、美女の履いた“使用済み”の靴を持ち帰って、まぶたに焼き付けた美脚を思い出し自宅で楽しむのだろう」(フェチ事情通)


 来店するなり「黒ストッキングをはいた店員さんをお願いします」と、意味不明の指名をして、試着させる猛者もいるという。


 また、店には不審な電話もかかる。


「靴がニオってきたから中敷きを替えたい。白と黒、どっちがいいかな」「お姉さんの靴は何日目からニオうの?」などなど。男たちはニオイ関連の会話から、どうにかして「くさい」「ニオイ」「蒸れる」という言葉を女性販売員に言わせようと必死に質問攻めにする。男性社員に代わると、すぐに電話は切れるとか。


 少数ではあるが、女性の変態もいる。「ピンヒールを買ったきれいなお客様が、数日後に『この前は一緒に選んでくれてありがとう。本当に気に入ったわ。写真を撮ったから見て』とスマホを差し出してきたんです」と言うのは販売員Bさん。


 写っていたのは、その靴だけを履いた全裸の女性。「自分に自信のあるレズビアンの方だったのでしょう」と振り返るBさんは、その場では顔色を一切変えずに「すてき。お似合いですね」と答えたという。変態客が多いからこそできるプロの対応だ。


 男女を問わず、人は特にハイヒールのような靴に性的興奮を見いだしてきた。

 ある文化人類学者は「中国では唐の時代から、女性の足を大きくしないように布を固く巻きつける纏足(てんそく)が行われ、清の歴代の皇帝が禁止しても庶民はやめなかった。近世の西欧でも硬くて小さいバレエシューズで足を成長させない方法があった。日本では花魁(おいらん)が三枚歯の高下駄で練り歩く。すべて、よちよち歩く姿で女性を弱々しく見せ、男性の支配欲をかき立てる。現代のハイヒールもそういう妄想をあおるアイテムです」と指摘する。