“毒婦”青酸化合物入手ルートに新証言

2014年11月26日 09時00分

 夫を毒殺した疑いで逮捕された京都府の筧千佐子容疑者(67)の“犠牲者”がさらに増える可能性が出てきた。同容疑者の周辺では2006年以降、昨年末に亡くなった夫の筧勇夫さん(75=当時)を含む計6人の男性が不審死したことが分かっているが、当局が想定していた犠牲者の数はこんなものではない。なんと2府4県で計14人に上る可能性があるという。また、事件最大の謎である千佐子容疑者の青酸化合物の入手ルートについても重大証言をキャッチした――。

 千佐子容疑者が逮捕された段階で“不審死”した周辺人物として報じられたのは、勇夫さん、一昨年3月にバイク走行中に亡くなった本田正徳さん(71=当時)らの計5人。1994年ごろに病死した元夫を含めると6人が死亡している。

 その後、内縁関係にあった奈良市の高齢男性も09年ごろに死亡していたことが発覚。警察は当時「病死」と判断していたが、男性の遺産は千佐子容疑者に渡っており、一連の不審死事件との関連を調べている。

 これで容疑者周辺の死者は7人。だが、捜査関係者によると「まだまだこんなものではない。彼女の周辺で亡くなっている人はほかにもいる」という。

 当局は勇夫さんの体内から青酸化合物が検出された段階で殺人事件と断定し捜査に着手。水面下で千佐子容疑者の交友関係を徹底的に洗った。

「すると、次から次へと身近な人が亡くなっていることが分かった。その数は大阪5人、京都2人、兵庫3人、奈良2人、和歌山1人、島根1人、2府4県にまたがり合計14人とも言われる。『これはおかしい』ということになり、連携して捜査を進めていた」(同関係者)

 ところが、決定的な証拠が出てこない。別の捜査関係者は「時間も経過していて、当時の状況が分からない。すべてを立件することは困難という判断になった」と話す。

 それらが再び動きだすかどうかは、千佐子容疑者にかかっている。

「当局が狙っているのは本人の自白。メディアに情報を小出しにしているのも、慎重に事を進めているため。ただ、彼女は相変わらず容疑を否認しているばかりか『留置場の布団は柔らかくてぐっすり寝れる』とまで言っている。当局にとって厳しい闘いになる」(警察関係者)

 自白の焦点は、否認の根幹をなす青酸化合物の入手ルートだ。

 青酸化合物の管理は法律で厳格に定められており、取り扱いには「毒物劇物取扱責任者」の届け出が必要。一般人が入手することはほぼ不可能で、千佐子容疑者自身も逮捕前、複数のメディアの取材に「どうすれば手に入れられるのか逆に教えてほしい」と答えている。

 そんななか当局が注目しているのが、千佐子容疑者の2人目の夫で、06年に死亡した兵庫県西宮市の医薬品卸会社社長Aさん(69=当時)だ。前出の捜査関係者の証言。

「Aさんは工場などに薬品を卸している会社の社長で『毒物劇物取扱責任者』の届け出もしている。彼の会社を経由すれば、青酸化合物を入手することはできる。当局は千佐子容疑者がAさんの会社から青酸化合物をオーダーした可能性もあるとみて、発注伝票が残っていないかなど、入念に調べているようだ」

 千佐子容疑者の関係先のゴミからは微量の青酸化合物が見つかった。この時点で限りなくクロに近いグレーだが、入手ルートを解明しない限り、真相究明とはいかない。

 今回の事件では、警察執念の捜査は実るのか――。