遺産総額8億円 第3の毒婦?の素顔

2014年11月21日 06時30分

送検される千佐子容疑者を乗せた車両

 2013年12月、京都府向日(むこう)市の自宅で死亡した無職筧勇夫さん(75=当時)の遺体から青酸化合物が検出された事件で、京都府警は19日、何らかの方法で服用させて殺害した疑いが強まったとして、妻の無職千佐子容疑者(67)を殺人容疑で逮捕した。同容疑者が関係先で捨てたものから、微量の青酸化合物が検出された。同容疑者の周囲では勇夫さんの他に大阪府や兵庫県などで年配の男性5人が死亡。しかも結婚後または交際開始から数年以内に死亡しており“第3の毒婦”として今年3月以降、匿名で報じられていた。その言動を追うと、全く新しいタイプの“最凶毒婦”だった!?

 捜査関係者によると、青酸化合物が周辺から発見されても、千佐子容疑者は「人を殺したりはしません」と容疑を否認している。筧勇夫さんとは結婚相談所を通じて知り合い、死亡の約1か月前に結婚。遺体から青酸化合物が検出された。死亡後、土地を含む数千万円の遺産の一部が同容疑者に相続され、保険金が掛けられていたことも判明した。

 また、12年3月には千佐子容疑者と親しい関係だった大阪府貝塚市の男性(71=当時)が事故死した。男性は大阪府泉佐野市の路上をミニバイクで走行中に転倒し、その後死亡。当時は心臓疾患による病死と判断されたが、勇夫さんの変死が発覚後、保存されていた男性の血液を再度調べたところ、青酸化合物が検出された。

 千佐子容疑者はこれまでに4回結婚。筧さんや男性のほか、06年以降に大阪、兵庫、奈良3府県の男性4人が結婚や交際開始から数年以内に死亡した。逮捕前に取材に応じた千佐子容疑者は青酸化合物について「全くわからない」と筧さん、貝塚市男性の死亡への関与を否定。4度の結婚や結婚や交際後数年以内に相手が死亡したことは認めていた。

 千佐子容疑者については今年3月ごろ、関西連続不審死疑惑として本紙を含む報道各社が報道していた。京都府警は関係先を家宅捜索し、青酸化合物の入手ルートや死亡前後の詳しい経緯の解明を進めていた。千佐子容疑者の関係者から「死ぬかもしれない」との連絡を受け、19日朝に大阪府内で身柄を確保した。

 交際からほどなく相手男性が死亡した事件といえば、09年に埼玉や千葉、東京などで起きた木嶋佳苗被告(39=一、二審死刑、上告中)や、同年に起きた鳥取の上田美由紀被告(48=一、二審死刑、上告中)の事件が記憶に新しい。2人は“毒婦”と呼ばれ、千佐子容疑者の事件が立件されれば“第3の毒婦”ともいえるが、木嶋、上田両被告とは明らかに異なる面があった。

 捜査関係者は「これだけ手こずるとは思わなかった」。それは千佐子容疑者の言動が原因だ。勇夫さんが亡くなって、すぐに捜査線上に千佐子容疑者が浮上し、任意の事情聴取も行った。

「事情聴取では黙秘するわけでなく、どちらかと言えばよくしゃべった。世間話なんかにも応じていた。でも肝心の事件に関することになると『知らない』とキッパリ。聴取要請も『その時間は用事あるから無理やわ』と平気で拒否したり。警察相手にも一歩も引かなかった」(同関係者)

 当初は被害に遭った可能性のある男性のいる奈良、大阪、兵庫の警察も動いたが、千佐子容疑者の態度があまりに堂々としていたためか、尻すぼみに。

「のれんに腕押しで関西の警察を手玉にとってしまった」(同関係者)

 さらに千佐子容疑者は驚がくの行動を取った。テレビや週刊誌の取材を受けまくったのだ。

「勇夫さんが亡くなった部屋の中にまで記者を入れて状況をこと細かに説明した。『自分は知らない。そういう(死別する)運命なだけ』と自分の主張を何度も何度も話した。あそこまで答える人はいない」とワイドショー関係者も驚きの表情を浮かべた。

 警察と堂々と渡り合い、メディアにも出まくる――。この2点を見ても、木嶋、上田両被告のケースとは大きく異なる展開。周辺に不審死した男性がわかっているだけで6人にのぼる。これまで相続した遺産などを合計すると、一部では8億円になるとも報じられている。ある意味、千佐子容疑者は過去“最凶毒婦”なのかもしれない。

 取り調べに対し「逮捕された理由は分かっているが、私は絶対に殺していません」と供述している千佐子容疑者。6人の男性の「疑惑の死」の真相が明らかになる日が待たれる。