<コンビニ土下座事件>司法の裁きは下されたが…

2014年11月13日 07時00分

 騒動はまだ収まらない!? 9月に起きた“コンビニ土下座事件”の衝撃は記憶に新しい。大阪府茨木市のファミリーマートで店長らが脅され、土下座させられる動画がインターネットで公開された、あの事件だ。恐喝罪に問われた無職野仲史晃被告(46)と同中村剛被告(39)の判決公判が11日、大阪地裁で開かれ、いずれも懲役2年、執行猶予4年(同求刑懲役2年)が言い渡された。司法の裁きは下されたが、被害者に安息の日は訪れていないという。

 事件は、野仲被告と中村被告の知人らが同店とトラブルになったことに端を発する。2人は「若い衆が店に車を突っ込むと言うとんぞ」など罵声を浴びせ謝罪を要求。その際に“誠意”と称してたばこ6カートン(2万6700円相当)を脅し取った。

 さらに、脅された店長らが、土下座させられている映像を撮影して動画サイトに投稿。瞬く間に大騒ぎになり、騒動収束のために向かった警察署で逮捕されるという、お粗末な事件だった。

 とはいえ、罵声を浴びたオーナーらが土下座させられている動画は、作り物でないリアルな緊迫感が漂い、身震いした人も多かったはずだ。しかも、オーナーらを脅迫していた被告たちは、どう喝とゆすりをやり慣れている印象が否めない。

 そんな脅迫人、中村被告は黒のスーツで肩を丸めて出廷。ときおり「フ~ッ…」と深く息を吐くなどしながら判決に聞き入っていた。

 長井秀典裁判官は2人の行為を「ひたすら謝罪を続ける店長、経営者を責め続け、『誰に口きいてる?』『殴る!』『蹴る!』『ファミマに車突っ込む言うてる!!』など激しい脅迫をした」と断罪。「被告人は『被害者らの謝罪の態度が不真面目で怒りが収まらず、抗議を続けていただけである』と述べているが納得できる弁解ではなく、信用できない」とした。

 両被告は事件のキッカケとなったトラブルの時点では現場におらず、完全に便乗した形で犯行に及んだ。

「バイクで集団走行するグループの威力を暗に示していて悪質。被害者らが受けた精神的苦痛は大きい。激しい脅迫をしており、共犯者と比べても責任は軽くない」(長井裁判官)とバッサリ。

 さらに「最初から金品を脅しとる意図があり、衝動的な犯行とはできない」とした。だが、示談が成立していることもあり「被告人の刑事責任は軽くないが、一応、反省の態度を示している」とみて執行猶予とした。

 誰もが利用するコンビニを舞台にし、日本中を騒がせた悪質極まりない脅迫事件。世間的には「ここまでやっても実刑じゃないのか」と驚きの声がある。

 同店舗のオーナーは「まだ、全て終わっていないのでコメントできません。すみません」と話すのみ。

 判決を言い渡した後に長井裁判官は「かなり悪質な犯行だと私は思います。十分な反省をしてほしい。(執行猶予の)4年が過ぎたあとも今回のことを忘れずに。あなたは1回、チャンスを与えられたわけだから」と被告に深い反省を促してはいたが、オーナーの言葉通りまだ事件は完全決着していない。同罪で起訴された女の裁判が残されているからだ。

 それだけではない。暴走族事情通は「犯行前に数十台のバイクや車がコンビニの駐車場にたむろしていた画像がネットに出ている。恐喝した人たちは司法の裁きを受けるが、こういうグループは仲間たちが数に任せて、被告とは“無関係”を装って、店に報復する可能性もある」と語る。

 そもそも、犯行がばれたきっかけは被告の身内の少女が友人経由で、ネットに動画を公開したからで、自業自得だ。しかし、被告らはそう思っていないだろう。

 裁判官たちは被告らが「バイクで集団走行するグループ」の一員と知りながら、そのような“お礼参り”を考慮に入れないのか。一般人にとっては、暴力団や暴走族などの組織ぐるみで何かをやってくるグループから身を守るすべはない。

 事件以降、同店には警備員が常駐し、警察の見回りも続けられているという。しかし、警察は見回りを24時間、永遠にやってくれるわけではない。