同性カップルの覚醒剤“W使用”事件 公判で明かされた恐怖の薬物DV

2021年05月25日 12時21分

東京地方裁判所

 覚醒剤と暴力が絶えない同性カップルのケンカがエスカレート。相方を薬物中毒で亡くし、自分は覚醒剤取締法違反と傷害の罪に問われた男の裁判が先日行われ、東京地裁は求刑通り懲役2年6月に執行猶予4年をつけた判決を言い渡した。公判では、薬物依存と暴力の恐ろしさが浮き彫りに…。

 乾恭章被告(仮名=47)は8歳下のA氏と8年前に都内で同居を始め、翌年から交際を開始。乾被告は22年前、A氏も過去に薬物事件の前科があった。
 
A氏は3年前、田舎の父に覚醒剤の使用を告白。帰郷させようとする父親に、乾被告は「生活面や金銭面、身体的な治療のサポートを責任もってやる」と約束しA氏を引き留め、父親から同居の了承も得た。

「そのときは好きって感情もあったんで(中略)やはり手放したくないっていう感じです」と泣きながら振り返る乾被告。だが、自宅マンション関係者によれば「以前から警察沙汰になるトラブルが2人にあった」という。A氏は3年前、乾被告とのケンカを警察に相談し、一昨年にも父親に「暴力を受けている」と電話していた。

 その裏にあるのが覚醒剤だ。乾被告は遅くとも昨年3月ごろから、A氏の誘いで使用を再開。約2週間に1回ペースで、当初はA氏に打ってもらっていた注射も自分でするようになり、今年2月にも自宅で自ら打った。そのときの覚醒剤と注射器は「被害者(A氏)が売人から買ってきたもの」と乾被告は証言している。

 4日後の朝、またケンカになり、部屋の窓からは2人で撮ったプリクラなどが捨てられ、外に散乱。口論から取っ組み合いとなり、先に手を出したのはA氏という。

 2人は殴り合い後いったん離れるも、乾被告は重さ445グラムの空き瓶でA氏の頭を殴打。「ビックリして痛そうな顔をしていた」(乾被告)というA氏は、瓶のガラス片で乾被告の足を切り付け応戦。瓶の破片を集め、洗面所から戻ったA氏の首に、乾被告は革ベルトを回し、絞め続けた。そのまま倒れ痙攣するA氏の顔に、乾被告は演技かと思い、ジュースをかけたが全く動かず…。マンション管理人の協力で自ら119番通報し、事件発覚となった。

 結果的にA氏は死亡。解剖立ち合い報告書によれば「頸部の圧迫は致死的ではなく、全身に見られる損傷は単独でも総合しても死因とはなり得ず、被害者の死因は急性循環不全。薬物(覚醒剤)などに関連した急死の可能性が示唆される」という。

 乾被告は「ずっと彼にDVをされてた。今までは手を出さなかったんですけど(中略)そのときはもう限界がきてて…」と犯行時を振り返った。以前A氏に空き瓶で殴られた経験から「(角ではなく)平らな部分でできるだけ傷を付けないように意識して殴った」という。またA氏が倒れたときは「頭を打たないように、床の方にそっと彼を置いてあげました」とも。

 恋人の薬物依存を止めるどころか「現実には一緒になって手を染めてしまった」と悔いる乾被告。法廷では「ケンカをしなければ、相手を失うことがなかったと思うと悔やまれてなりません」「毎年6月にバンコクに旅行に行ってましたし、コロナが来てから旅行に行けなくなったんで、そういうところに手を出しちゃったんですけども、いろんな(いい)思い出はいっぱいあります」などと泣き通しだった。弁護人が初めて接見したときも、ずっと泣いていたそうだ。

【関連記事】

関連タグ: