イタリアでなんとも不可思議な全裸騒動が起きていた。全裸の日本人男性が先月保護され、映画でも人気の漫画「テルマエ・ロマエ」をほうふつとさせる状況がイタリア国内で話題となった。男性がなぜ生まれたままの状態になったかは不明だ。タイムスリップか、エイリアンによるアブダクション(誘拐)から解放されたのか…。イタリアを驚かせた騒動を追跡した。

 地元メディアや外務省によれば、男性は先月24日朝8時ごろ、首都ローマから北へ約100キロにあるウンブリア州ナルニ郊外で、全裸で歩いているところを地元猟師に発見された。

 猟師が尋ねたところ、男性はイタリア語を理解できずに股間を押さえて、立ち尽くすのみ。30~40代とみられる男性はけがをしている様子もなく、「ジャパン」と発したことから、地元警察に保護され、在イタリアの日本大使館に連絡が入った。

 謎の男性出現といえば2005年、英国で記憶をなくした身元不明の男性が巧みにピアノを演奏したピアノマン事件が有名だ。今回はイタリアという場所柄、漫画「テルマエ・ロマエ」で描かれたタイムスリップによるワープ劇を連想させる。今年4月に公開された阿部寛(50)主演の映画「テルマエ・ロマエⅡ」はイタリアでも公開されたとあって、現地でも「タイムスリップした日本人が全裸で発見された」などと報道された。

 漫画作者のヤマザキマリ氏(47)も騒動をツイッターで報告し、ネット上でも騒然となった。イタリアは古代ローマ時代からUFO目撃のパワースポットとして知られることから、エイリアンによるアブダクション説のほか、現地ではびこる極右・極左勢力に拉致されたのではないかと諸説入り乱れた。

 ただ在イタリア日本国大使館は、男性が全裸で保護された事実は認めたものの「個人を特定する可能性があるため、年齢、名前を含めて、原因等をお答えすることはできない」と言葉少な。事件に巻き込まれた可能性は否定した。

 男性の家族とも連絡がとれたようで、保護された翌日には自費で日本に帰国したという。帰国できて家族と連絡できたということは、少なくとも期限切れしていないパスポートを所持していた現代人であるということだ。

 男性は観光客とみられる。事件・事故でなければ、泥酔した揚げ句の全裸か、何らかのアクシデントによる一時的な記憶喪失か、はたまたテルマエ・ロマエに刺激された芝居だったのか? 謎のままだ。