シリアで拘束 湯川さんミリタリーショップ経営の過去

2014年08月21日 08時00分

 シリア北部アレッポでイスラム教スンニ派過激集団「イスラム国」に拘束されたとみられる湯川遥菜さん(42)は、専門的な訓練を受けていなかったという見方が強まっている。設立した民間軍事会社は活動実態が不明。関係者らの話を総合すると、湯川さんは約10年前にミリタリーショップを経営していたという。武器には詳しそうだが、本格的な訓練をしていた様子はない。千葉市内に住む父親は「過去のことは分からない」と話すなど、憔悴しきっている。

 千葉市内にある湯川さんの実家には、警察関係者などが訪れていた。午前中はマスコミに対応していた父親だったが、午後には「今日はもう疲れてしまった」(親族)。いまだ湯川さんの詳しい情報が得られないとあって疲労困ぱいだという。

 アフガニスタンで誘拐された経験のあるジャーナリストの常岡浩介氏(45)は19日、ツイッターで「生きてるなら、会いに行こう」とシリアに向け出発。常岡氏には過激派にツテがあるという。

 また、湯川さんが拘束されたときの状況も明らかになった。過激派と湯川さんが同行していた反体制派武装勢力が戦闘になった際に、現場に取り残され間違って過激派がいる方へ逃げてしまったという。戦場ジャーナリストは「シリアでは、過激派と反体制派は服装が似ていて区別がつかないといいます。いちいち確認しないといけない」と指摘した。

 日本政府は安否情報を収集しているが、そんななか湯川さんの過去に注目が集まっている。

 前出の常岡氏のツイートによると、「(湯川さんは)ただのミリタリーマニア向けショップの店長だった」とある。湯川さんが経営していたというミリタリーショップは千葉・幕張にあったが、約10年前に潰れてしまった。代表取締役社長の名字は同じだが、名前のイニシャルがMになっている。しかし、湯川さんのアパートの大家の親族は「郵便受けは1つしかないので受け取ったものを大家がそれぞれの部屋に配るのですが、(宛名に)湯川Mと書いてあるものもありました」と話していた。

 パスポートでは遥菜になっているが、実家周辺の住民には「Mさん」で話が通じたので、湯川遥菜さん本人の可能性が高い。地元関係者は「父親は湯川さんの過去はあまり把握していないようです。会社を経営していたけど潰れてしまったことは知っていたけど、店の名前などは知らない。改名についてもあんまり。ただ『申し訳ない』を繰り返しています」。

 湯川さんは銃を所持した写真をネットで公開していた。それを見た戦場ジャーナリストは「コスプレみたい。軍事オタクっぽい」と指摘。また、本人のブログでは今年春にシリア入りする前にトレーニングしたと記述。渡航予定10日前から筋トレやジョギングをしたという。シリアへの渡航について湯川さんは知人に「実績を作りたい」と目的を話していた。軍事マニアから専門家になりたかったというのか。

 一方、湯川さんは自らのブログで“男装の麗人”“東洋のマタ・ハリ”と言われ、清朝の王女だった川島芳子氏の「生まれ変わり」と自称していた。2013年11月には自殺未遂をした過去を記述。

「男性の象徴である場所を切断し、切腹を図ったのだ! 失敗したときは女性として生きようとも思っていたので、後は運命に任せた」と本当かうそか判断付きかねることを書いていた。亡き妻の助けで生き延びたといい「やはり体も女性化してくる」と説明している。自宅アパートの大家の親族は「髪が長くて女性っぽい感じがあった」とも話していた。

 女性化の話はともかく、ミリタリーショップ経営の経験がシリア渡航につながったのかは事件の背景として重要といえそうだ。