愛媛少女死体遺棄 被害者の父「どこもなんも助けてくれなかった」

2014年08月20日 11時00分

大野さんの遺体が見つかった市営住宅

「なんぼ頼って行っても、助けてくれなかった…」。愛媛県伊予市の死体遺棄事件で、逮捕された無職の女(36)らの暴行を受けて死んだとみられる無職大野裕香さん(17)の父親が18日、本紙の取材に応じた。家出をしてまで、凄惨な暴力支配が待つ“地獄の団地”に身を寄せた理由が明らかになるとともに、娘を助けてくれなかった愛媛県警と行政への恨みを告白した――。

 18日に松山市内にある大野さんの実家を訪れると、ちょうど父親が葬儀用の花を自宅に運び込んでいる最中だった。非常に憔悴(しょうすい)し切った様子だったが、ハッキリとした口調で質問に答えてくれた。

「とにかく、警察と公的機関は縦割りで、私らも一生懸命(娘を)引き戻すために対応はしたんですが…。結局は公的機関に頼らないといけんかった。ですが、なんぼ頼って行っても、どこもなんも助けてくれなかったんが実情です。その中で1か月近くいたぶられて死んだいうのが現状じゃないかと認識してます」

 誰も助けてくれない間に、娘が卑劣な暴力を受け死んだ。そんな悔しさと無念さがにじむ言葉だ。

 事件を受けて、市はこの日、部局を横断した連絡組織を設置することを決めた。子供や高齢者への危害の情報を市、警察、児童相談所で連携して共有するというのだ。これは平時から当然やっておくべきことで、遅きに失するとはまさにこのことだろう。

 今回の事件は警察の不手際も大きな問題となっている。7月19日、市営住宅住民からの「少女が暴行を受けている。姿が見えない。死んでいるかもしれない」という通報を受けた警察は部屋に向かったが、ノックに応答がないという理由で引き揚げているのだ。

 警察はこの段階ですでに、大野さんへの暴力を把握していたにもかかわらず、だ。粘り強さを見せて安否確認さえしていれば、事件は防げたかもしれない。父親に、警察と行政に対する気持ちを改めて尋ねると、やはり、不信感や恨みはあるという。

「(恨みは)あります。ありますというか、(行政も警察も)何もできんかったね、という話です。それはこれから私なりに責任を追及していきたい。それだけです」

 責任追及というからには、場合によっては訴えを起こすことも視野に入れているのかもしれない。また「(娘を助けてくれなかった警察への不信感は)ありますけども、今は(真相究明のために)ある程度任せないと…」という複雑な気持ちも吐露した。

 ここまでは言葉に詰まらず語っていたが、次の質問に答えるまでには数秒かかった。そもそも、大野さんが家出をした理由とは何だったのか? 家出先で娘を亡くした遺族には酷な問いだったが、それでも父親は答えてくれた。

「向こう(住宅)の方が居心地が良かったということですよ。要は、何をしても何も言われない。私どもは普通の家庭ですから、おかしいことしたら『おかしい。直せ』とどうしても言ってしまう。向こうの方が居心地がよかった。それだけです」

 子供に口うるさく注意するのは、どこの親でも経験があるはずだ。家出をする子供も珍しい話ではない。だが、暴力を振るわれる環境は、全く居心地がいい場所ではないだろう。その疑問に父親は「(実家を)出てから1年近くは(女たちと)仲良くやってたと思います。暴力が出だしたのはつい最近の話です」と話した。

 家族が大野さんと「最後に連絡取れたんは6月27日」だったそうだ。7月に入ってからは一切取れていないという。女たちは大野さんの携帯電話も取り上げていたのだろうか。だとすれば、家族にSOSを発信したくても、できなかったのかもしれない。