警察の男性ヌード撤去指導従わず逆手に取った愛知県美術館

2014年08月15日 07時00分

鷹野隆大氏の作品。変更後の展示風景

 愛知県美術館(名古屋市東区)で開催中の企画展「これからの写真」(9月28日まで)に展示している写真家・鷹野隆大氏の作品12点が、わいせつ物陳列罪にあたる可能性があるとして愛知県警が作品の撤去を求めていたことが分かった。

 問題とされたのは鷹野氏が出品している50点のうち、男性の局部が映っている12点。会場は県立美術館で公共性はあるものの、展示スペースはほかの作品とはカーテンで仕切られ、係員も配置。入り口には「男性器を含む裸体写真の展示があります」と案内し「了解した方だけ入場してください。中学生以下は入場できません」とアナウンスしていた。

 美術館スタッフによると「我々は作品を『わいせつな物』と考えていない。警察の撤去命令に従えば、わいせつ物と認めたことになる。作品をひっこめて問題を覆い隠すのではなく、警察の指導があったと分かるような新たな展示を作るという発想で、局部を半透明の布で覆いました」。逆手にとって皮肉を込めた作品に作り替えたのだ。

「2008~09年にかけて、中国人の新進気鋭の写真家の写真展『アヴァンギャルド・チャイナ』を開催した時は、今回同様に男性器を含む展示内容だったが問題視されなかった。今回も、公然わいせつに当たらないか事前に法律相談も行っていた」(同)

 最近では、自身の女性器の形状を3Dプリンターで作れるデータを配布したとしてわいせつ電磁的記録媒体頒布容疑でろくでなし子の名でアーティスト活動を行っていた五十嵐恵氏(42)が逮捕された。前出スタッフは「ろくでなし子さんの場合は、事前に拳銃の事件もあり単純にわいせつ表現への規制というよりも、3Dプリンターへの警告という意味合いも強い」と分析。一方の鷹野氏の作品には「性器を表現の中心に据えているわけでなく、性器が映っているか映っていないかが芸術とわいせつの境界として当てはめられたケース」とみている。

 13日から布で局部を隠した“修整”展示をしているが、事情を知らない来場者からは「なぜ、このような作品なのですか」などと疑問の声も上がっている。