<佐世保高1殺害>疑問点だらけの「父親との確執否定」

2014年08月03日 09時00分

 冷蔵庫に猫の首――。長崎県佐世保市で高校1年の松尾愛和(あいわ)さん(15)を殺害し、殺人の疑いで逮捕された同級生の女子生徒A(16)の自宅マンションの冷蔵庫から猫の首が見つかった。マンション周辺は野良猫の多い地域。Aは事件直前まで猫の解体を行っていた可能性がある。猟奇的な事件をめぐっては、Aの弁護人が配布した文書に疑問が寄せられている。父親の再婚が殺害の引き金になったとの報道を全否定する内容だったが、肝心の父親がいまだ沈黙したままなのはナゼなのか? 「父親原因説」に迫った――。

 1日放送の「報道ステーション」(テレビ朝日系)によると、Aの自宅マンションを家宅捜索した結果、冷蔵庫から猫の首が見つかったという。これまでにAは「猫を解剖したことがあり、人間でもやってみたかった」と供述していたが、過去の話ではなく、事件直前まで猫を殺していた可能性が出てきた。

 マンションは国道沿いにあり、路地を入ると野良猫がいる。だが「この辺りで猫の虐待があったとは聞いたことない。ただ、野良猫はたくさんいます」と周辺住民。特に夜になると野良猫の数は多くなる。殺したい欲求を抑えきれなかったということなのか。

 こうしたAの猟奇性を強調する出来事がある一方で、接見した弁護人が配布した「父親原因説」を否定する文書が話題になっている。文書の要点は以下の4点。

「父親と現在の新しい母との再婚には初めから賛成しており、再婚に反対していたという事実はまったくない」「再婚について自己の心情を友達に話したことはない」「父親のことは尊敬している」「母が亡くなって寂しかったので、新しい母が来てくれてうれしかった。新しい母にはすぐに慣れ、仲良くしていた」――。連日報じられた父親との確執を全否定した格好だ。

 ならばなぜ、父親を金属バットで殴ったのか。本紙の取材に弁護人は「ご指摘は分かります。バットで殴ったのは事実です。(理由は)これからの精神鑑定や調査によって判断がなされるものだと思います」と慎重に話すにとどめた。
 これに対し、父親と面識のある男性は「このまま精神鑑定によって責任能力がないということにして、うやむやにするんじゃないか」と怪しむ。Aが小学校時代に引き起こした給食への異物混入事件など、過去にうやむやにされたことはいくつもある。バットで殴られたときも父親は頭に包帯を巻いており、知人が「どうしたの?」と聞くと、「階段から落ちた」と答え、本当のことは言わなかったという。

 文書は父親を擁護しているように見え、「真実よりも保身のため」と周囲が感じるのも当然だ。文中の「父親を尊敬」とは本心なのか。たとえそれがAの言葉だったとしても、接見で本当のことを言っていると弁護人は思っているのか。この点は「どう受け取ったかはコメントできません」。父親の再婚が事件のきっかけだとする報道にAが戸惑い、訂正を求めたことは間違いのない事実だと強調した。

 疑問はまだある。地元住民は「父親のコメントが一切出ていないのはおかしいのではないか。普通、謝罪なりがあるんじゃないのか」と弁護士をしている父親の対応を批判する。弁護人は「マスコミの皆さんから要請がありますし、保護者も自分の口から話したいという希望は持っています。しかし、保護者が話すことが少年(女子生徒A)の更生に害があるなら話さないこともある」と、今後も対応しない可能性も示唆。遺族への謝罪がまだできていないのに、先にメディア対応はできないという事情もある。

 配布された文書は「父親原因説」にクギを刺す意図がある。父親と家族ぐるみの付き合いがあった知人女性は「いい家族でした。再婚は15歳にはショックだったかもしれないけど、家庭で支えてくれる人が多忙のお父さんには必要よ」とフォローしていた。

 現状は疑問点だらけの文書だが、仮にAが本心を語っているとすると、残る動機は猟奇的欲求に絞られる。弁護人はこの点についてAが何を話しているかはまだ明かしていない。

 Aの犯行を裏付ける精神鑑定について、長崎地検は1日、実施する方針を固め、8月中旬にも長崎簡裁に鑑定留置の請求をするとみられる。