<渋谷ホームレス殺人>原因は「飯場」の奪い合い?

2014年08月01日 16時00分

事件が起こった勤労福祉会館の玄関前

 7月7日に東京・渋谷区で路上生活をしていた2人の男性が、同じホームレスから刺されて死傷していた事件で、警視庁捜査1課は30日、殺人と殺人未遂の疑いで住所不定、無職の岡崎邦夫容疑者(62)を逮捕した。寝床の奪い合いがトラブルの原因となったとみられている。だが「プー太郎といえど、寝床を奪われたくらいで人は殺さない」という声がホームレスたちから出てきた。別の殺害動機があったのか?

 岡崎容疑者は7月7日午前0時40分ごろ、渋谷区の勤労福祉会館の玄関前で、本間聡さん(52)の右大腿部を刃物で刺した。動脈からの失血がひどく、本間さんは死亡。他に50代の男性の腹部も刺して傷害を負わせて、現場から逃走していたが、赤坂署の管轄内のコンビニで缶ビールを万引きしたとして逮捕。取り調べの中で、殺傷事件への関与を認めたという。

 動機は寝場所の取り合いと発表された。本間さんと男性の寝床で、新参者の岡崎容疑者が寝ていた。「どけ!!」と言われたことに逆上して刺したという。渋谷のホームレスは、縄張り意識が強いのだろうか。

 高架下のテントで暮らす女性は「寝床の奪い合いはほとんどない。けど、私も寝てた場所を取られたことがある。退散したよ。そこじゃなくても、どこでも寝れるしね」と話す。

 空き缶集めで生計を立てる男性は「俺のとこにも渋警(渋谷警察署署員)が来たよ。凶器は果物ナイフらしいが、まだ見つかってないそうだ。名古屋あたりに逃げてたと思ってたが、まだ東京にいたのか」と話す。

 殺害の動機については懐疑的だ。

「寝床の奪い合いで殺すなんてありえない。あんたならベッド取られたくらいで殺すか? 以前からいざこざがあったとしか考えられない。寝床を取られたのはきっかけでしかないだろう」

 別の原因があって、前にもトラブルがあったのでは、という。では、ホームレスの争いの主な原因は何か。それは、酔っ払ってのけんかと、「飯場」の奪い合いだ。

 同男性は「パン屋とかコンビニから廃棄される飯が出るだろ。行く場所は決まってる。新しいヤツが自分の飯場に来たら追い払うんだよ。トラブルになる」と説明する。

 缶集めなどで収入のある人は飯場を頼る必要はない。「パンの耳をもらいにパン屋に行ったら、そこのプー太郎から怒鳴られたヤツもいる。稼ぎがあるから、耳は自分で食うわけじゃなくて趣味でハトにやるだけ。『アンパンはどうぞ。私は耳だけで結構でございます』と言ってもダメだ。人間、メシのことになると頭に血がのぼるわな」(同)

 今回の事件も、別のなんらかのトラブルがあったのだろうか。

「太ももの動脈切ったら一発で死ぬ。殺そうと思ってやったんだ」(同)

 ホームレスにとって、布団で寒さに対抗できる冬より、暑い夏の方が寝つけなくてイライラするそうだ。事件現場は目の前にビアガーデン。楽しげな人々の姿は、コンクリートの地面からどう見えていたのか。