東京大学の政策ビジョンセンターは、8月30日から「市民後見人養成講座」7期生を始める。一般市民が後見人になることを目的とした講座で、受講料7万5000円、定員400人。120時間のプログラムを6か月で修了する。

 後見される側の認知症高齢者や知的障害者自身の講義もあり、受講生の多くが後見人としてのやりがいを感じる講座として一昨年度まで好評だった。しかし昨年度から様子は一変。

「当初から講座を引っ張ってきた若手教員が突如外され、独自のテキストを開発することが不可能に。結果、認知症サポータービジネスで一発当てたNPO法人が販売する市民後見人養成テキストにとって代わられた。東大ともあろう組織が、外部から教科書を買うことになるとは、お粗末極まりない」(後見事情通)

 授業も質疑応答時間がなく一方的で、講座の売りだった「後見人同行研修」「後見NPO立ち上げ」「受講ニーズごとのゼミ」もなくなった。

 6期生修了者からは「東大講座の目的が一体何なのか分からなかった」などと大不評。7月に入ると、後見に関係する社会福祉士が「東大にだまされたという相談が事務所に多数。私も詐欺だと思っています」とツイッター暴露するまでになった。

 同講座が骨抜きになった背景には、学外からの圧力があるという。

「昨夏ごろ、厚労省関係者が『東大独自のテキストはやめて、厚労省の息のかかったNPOのテキストを使うように』と、東大に求めてきたというんです。また弁護士らは『講座の中で弁護士後見人による横領事件を扱わないように。取り扱うなら業務妨害で法的措置も検討する』と詰め寄ってきたんです」(大学関係者)

 そんな外圧に屈した東大に、学の独立はないのか。行政、後見業界、そして大学側のモラルが疑われる。