精神科医が分析「同級生殺害」高1少女の“心の闇”

2014年07月30日 06時30分

 10年前と17年前の“あの猟奇事件”を参考にしていたのか――。長崎県佐世保市で高校1年生の松尾愛和(あいわ)さん(15)がクラスメートの女子生徒(16)に殺害された事件で、警察の調べに対し女子生徒が犯行動機を話し始めている。「殺してみたかった」「遺体を解体したかった」などと恐ろしい供述をしているが、いったい何が少女を変えてしまったのか? 専門家がこの女子生徒の“心の闇”に迫ると、過去に起きた少年・少女の残虐な犯行が浮かび上がってくるという。

 勉強もスポーツもよくできたという一見優等生の16歳少女が、取り調べに「後頭部を殴り、首を絞めた。全て私がやりました」「遺体をバラバラにすることに関心があった」などと話す姿は、映画でもそう見られないだろう。そこまでの残虐性が備わってしまったとしたら、原因は何だったのだろうか。

 精神科医で東京・銀座泰明クリニックの茅野分(ちの・ぶん)院長(41)は、直接診断しないと分からないと前置きした上で、「発達障害と人格障害が合わさった疑いがある」と指摘する。

「道具を揃え、用意周到に取った行為で、普通なら途中で我に返っておののき自首するところが、最後まで諦めずに遂行している。非常に冷徹極まりなく、人の心を欠いてしまっている。一過性ではなく、生まれ育ちの中でむしばまれてしまった心の障害にみえる」

 本紙昨報通り、佐世保では10年前、小学6年の女児が同級生女児をカッターナイフで殺害する事件が発生。また17年前には、兵庫県神戸市で「酒鬼薔薇聖斗」を名乗る少年による児童殺傷事件が起き、いずれも世間を震撼させた。今回、その2事件を思い出した人も多いはずだ。

「加害者の生徒は、少年少女による過去の事件をネット等で調べ、模倣した可能性もある。その意味でも発作的というよりも計画的な犯行で、注目を引く狙いがあったかもしれません」(茅野氏)。女子生徒は小学6年の時、給食に洗剤を混入させていたというが、両親が地元の名士で、さしたる問題にはされず進学校に上がった。ただ、仲の良かった母親が昨年10月に他界し、父親は今年5月に再婚。思春期真っただ中の少女の心に、大きなストレスが生じたことは容易に想像がつく。9月には海外留学する予定で、自宅近くのマンションで一人暮らしという、複雑な家庭環境にあった。茅野氏も同情的だ。

「記憶力や集中力など頭はいいが、社会性、対人関係能力に問題があったと推測される。幼少期から問題を起こしていたのに、適切な療育が施されてこなかったのでしょう。そこに母親が亡くなり、父親がすぐに再婚した。社会的地位の高い父親の分別ある行動とは言えず、心理的虐待を受けた。暴力行為を受けるよりもつらい状態で、深い傷を与える。本来は親に向けられる怒りが、友人関係のもつれからなのか、同級生に向かってしまったのでは」

 数年前から小動物を解剖していたという女子生徒。親に対して金属バットで殴りかかったこともあると一部で報じられた。取り調べには淡々と応じているものの、被害者への謝罪の言葉は出ていないという。

 名士の両親は、人として生きる上で、最も大切なはずの「命の尊さ」を教え忘れてしまったのだろうか。